光文社時代小説文庫から以前出ていたシリーズもの。
記念すべき木枯し紋次郎初登場作「赦免花は散った」から
「流れ舟は帰らず」「湯煙に月は砕けた」「童唄を雨に流せ」
「水神祭に死を呼んだ」の計5編を収録。
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最近「時代劇本格ミステリ」というのが流行りつつあるらしいが
木枯し紋次郎なんかはその先駆けともいえるのでは。
なんせ著者の笹沢左保さんはもともと本格ミステリのお方。
時代小説にどんでん返しを持ち込んだ功績はとてつもなく大きい。
なんやかんやいうても第1作「赦免花は散った」の完成度は高い。
菅原文太で映画化されたのもこの作品。小池朝雄をぶった切る。
江波杏子はちょいと違う気もするのだが。
やるせなさと憤り感が満載のところがたまらない。
あと「湯煙に月は砕けた」が好きな作品。
ケガした紋次郎が温泉で治療しているところに乱暴者が好き勝手。
どうやってピンチを脱するかのスリリングさとどんでん返しのコントラスト。
しかしまあ、つくづく女というのは身勝手なもんだと教えてくれる。
これがテレビシリーズ第9話の原作。
ゲストは扇ひろ子、長谷川明男、井上昭文など。
「童唄を雨に流せ」はテレビシリーズ第5話の原作。
ゲストは香山美子、工藤堅太郎、藤岡重慶など。
「水神祭に死を呼んだ」はテレビシリーズ第14話の原作。
ゲストは赤座美代子、田崎潤、南原宏治、寺田農など。
「流れ舟は帰らず」はテレビシリーズ第18話の原作。
ゲストは吉田日出子、村松英子、上條恒彦、内田勝正など。
これが最初のシリーズのラストを飾る作品。
実は小説はそこまで売れなかった木枯し紋次郎。
テレビドラマというか時代劇がまだ力を持ちえた時代背景もあるが
映像化によって人気に火が付いたのが真実のようだ。
個人的にはドラマも悪くはないが、原作の魅力には勝てんと思うけどね。