西村京太郎282「河津・天城連続殺人事件」を読む

1999年出版の短編集。
表題作のほか、「黒部トロッコ列車の死」「週末の殺意」
「一千万円のアリバイ」の計4本を収録。

「河津・天城連続殺人事件」は短編というより中編。
2006年にTBSで映像化。

伊豆・河津七滝の宿に宿泊した謎の女。
彼女は2カ月前に七滝の一つである蛇滝で
転落死した女性と同姓同名だった。

そして釜滝で発見された男性の射殺死体。
静岡県警の身元照会を受け、十津川と亀井は現地に。

殺されたのは連続殺人事件の容疑者の一人だった。
身勝手な理由で猟奇殺人を繰り返した愚か者たちに
鉄槌を下した人物とは誰か?--という話。

こういう話好きだし共感できる。
だいたい犯罪者野放しにし過ぎなのよ。
オウム7人死刑執行のニュースが世間をにぎわせているが
もっと早くてもよかったのではという気がせんでもない。

まあ結局のところ、全容解明には程遠かったけれど。
映像化作品のゲストは佐藤藍子、朝加真由美、六平直政など。

「黒部トロッコ列車の死」は亀井刑事ご家族編。
息子どんだけ巻き込まれるのよって話なのだが。
短編としてよくできてるし、トリックもなるほどねえと思える。

「週末の殺意」は土曜の深夜に起きたOL殺人事件。
十津川と亀井は被害者の周辺を洗い、容疑者を絞るが――という話。

現代の病理というか、孤独を描きつつ作者の優しさを感じる作品。

「一千万円のアリバイ」はこれぞ短編ミステリといえる作品。
なんちゅうてもラストの切れ味が素晴らしい。
こういうのは短編ならではのどんでん返し。
また、冒頭の主人公の心の揺れを描いた文章が素晴らしい。

著者の秀でたテクニックを堪能できる短編集。

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