股旅小説・笹沢左保「無宿人 御子神の丈吉①」を読む

1972年出版の作品。
国定忠治を悪役に仕立てるという
それまでの股旅ものの常識を覆した傑作。

あらすじ

渡世人から足を洗い恋女房のお絹と
幸せに暮らしていた御子神の丈吉。
一人息子も生まれ、ますます喜びに沸いていた。

しかしその幸せは長く続かなかった。
穏やかな日々はある日突然打ち砕かれた。

国定忠治の舎弟・長五郎らに留守を襲われ
お絹は散々に弄ばれ赤子と共に惨殺された。

指を潰されてまで丈吉が守ろうとしたものが――。

復讐の鬼となった丈吉は、恋女房の形見を腰に旅に出た――という話。


感想

相変わらずうまい。ていうかノレる。
ある意味木枯し紋次郎よりノレる。

復讐のバラードが鳴り響きまくる。
これもう一度映像化してくれりゃいいのに。
かつて原田芳雄主演で映画化されてるんだけど。

話暗いからってお蔵入りになったりしたのこれだったかな。

著者らしいどんでん返しも健在。
そこがあだとなって現在読まれてなかったりするのだが。

有名どころの時代小説は藤沢周平にしろ
池波正太郎にしろ新しい読者を生み続けている。

なぜか笹沢左保はそうはならない。
やっぱり主人公がアナーキーすぎるのかねえ。
紋次郎なんか全盛期でもあまり本は売れなかったというし。

すごくうまいんだけどねえ。
このあたりの時代小説を読まないのはもったいないのでは。

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