1972年出版の作品。
国定忠治を悪役に仕立てるという
それまでの股旅ものの常識を覆した傑作。
Auto Amazon Links: プロダクトが見つかりません。
あらすじ
渡世人から足を洗い恋女房のお絹と
幸せに暮らしていた御子神の丈吉。
一人息子も生まれ、ますます喜びに沸いていた。
しかしその幸せは長く続かなかった。
穏やかな日々はある日突然打ち砕かれた。
国定忠治の舎弟・長五郎らに留守を襲われ
お絹は散々に弄ばれ赤子と共に惨殺された。
指を潰されてまで丈吉が守ろうとしたものが――。
復讐の鬼となった丈吉は、恋女房の形見を腰に旅に出た――という話。
感想
相変わらずうまい。ていうかノレる。
ある意味木枯し紋次郎よりノレる。
復讐のバラードが鳴り響きまくる。
これもう一度映像化してくれりゃいいのに。
かつて原田芳雄主演で映画化されてるんだけど。
話暗いからってお蔵入りになったりしたのこれだったかな。
著者らしいどんでん返しも健在。
そこがあだとなって現在読まれてなかったりするのだが。
有名どころの時代小説は藤沢周平にしろ
池波正太郎にしろ新しい読者を生み続けている。
なぜか笹沢左保はそうはならない。
やっぱり主人公がアナーキーすぎるのかねえ。
紋次郎なんか全盛期でもあまり本は売れなかったというし。
すごくうまいんだけどねえ。
このあたりの時代小説を読まないのはもったいないのでは。