1968年に刊行された時代小説短編集。
「七草粥」「虎」「突風」「見世物師」「術」「役者絵」の計6本を収録。
Auto Amazon Links: プロダクトが見つかりません。
あらすじと感想
「七草粥」は正月のお話。
織物問屋の大津屋で七草粥を食べて集団食中毒事件が起きる。
大津屋の主人、番頭夫婦が死に残されたのは若い妻。
食中毒事件の裏には策略があった――という話。
2015年にBSジャパンで映像化。
出演は星野真里、布施博、田中幸太朗、川野太郎、西尾まりなど。
「虎」は事件を起こし江戸に出てきて成功した男が
自分の長屋に住まわせた男が作る張り子の虎を見て過去に怯える話。
作品の系譜でいえば「顔」や「共犯者」のたぐい。
2015年にBSジャパンで映像化。
出演は内田朝陽、渋谷哲平、小松みゆき、山口あゆみなど。
「突風」はある秘密を知った小悪党の末路の話。
悪銭身に付かずとはよく言ったもので、身分不相応なことはせんに限る。
「見世物師」は見世物小屋のライバル関係を巡る話。
なんぼ儲けたいと思っても不正をしたらあかんわね。
「術」は大道芸の世界を描いている。
江戸の街に奇妙な辻斬り事件が連続して起こる。
ラストのどんでん返しが素晴らしく、切れ味抜群。
騙されるよねえ、これは。
「役者絵」はこれまた悪銭身に付かず的な話。
女にそそのかされたらロクなことはありませんな。
大富豪の変死がこんな話でないことを願いたいものだ。
どっちみちオレには関係ないけど。
2015年にBSジャパンで映像化。
出演は雛形あきこ、桜木健一、宅間孝行など。
まあとにかくうまい。一番好きなのは「術」かな。
主人公と岡っ引きのキャラクターもいいし。
しかし江戸時代の人々は季節を大事にしてるね。
それも生活の楽しみの一つだったんだろうけど。
今なんか季節感もへちまもないもんね。
暑いか寒いか、ただそれだけみたいな。
味気ない時代の中でも、味のあるものを書いていきたい。