ハードボイルド・生島治郎「兇悪の警察」を読む

1987年初出の作品。「兇悪」シリーズ初の長編。
それまでの4冊は連作短編集で「兇悪の門」はじめ
天知茂主演「非情のライセンス」の原作となった。



あらすじ

ニューヨークで日本人の若妻が射殺された事件。
夫の尾形友一は多額の保険金を受け取り、三島安代と再婚した。
しかし5年後、尾形は前妻殺しの容疑で逮捕され獄中へ。
事件はマスコミをにぎわせた。

警視庁特捜部の会田は安代と懇ろになったことから
この事件を追うことになり、真相を暴くためニューヨークに。

外国でも型破りの捜査を続ける会田を危機が襲う。
新たな殺人事件が起こる中、会田刑事の運命やいかに――という話。

感想

ハードボイルドに悪女は付き物だが、この安代のキャラがいい。
事件のモデルが三浦一義事件にあることは当時を知る人ならピンとくる。

会田刑事のキャラってドラマで天知茂が見せる感じとは少し違う。
あそこまでニヒルで硬派という感じはしない。
悪を憎み、悪をとことん根絶するため妥協しない姿勢は共通してるけど。

少なくとも小説の中ではバックに「昭和ブルース」は流れない。
なんやろねえ、もうちょっと洒落てるというかトランペットが鳴るというか。

ラストは尻切れトンボのように思う人もいるかもしれないが
これはこれで正解のような気がする。

逆にこの後を書いたとしても凡庸にしかならず
こういう終わり方をしているのも洒落てる印象を受けるのかも。

この作品は「非情のライセンス」の放送も終わっているし
天知茂亡き後に書かれたもの。

原作となった初期の連作短編集を次は読んでみたい。

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