和久峻三「赤かぶ検事シリーズ傑作選②」を読む

2011年出版の傑作選第2弾。
「紅葉の下に猫がいる」「九官鳥は偽証する」
「盗人神様」「赤かぶ検事転勤す」の4編を収録。

第1弾よりは傑作選というにふさわしい内容。

「紅葉の下に猫がいる」は
廃村の寺に住み着いた坊主をめぐる事件。
鉄壁のアリバイを赤かぶ検事がどうやって崩すかが見どころ。

また、コケ盆景に凝る赤かぶ検事の姿がユーモラス。
タイトルの意味はラストでわかるつくりになっている。

「九官鳥は偽証する」は
ある朝、赤かぶ検事の官舎裏口に鳥かごが置かれていた。
中にいたのは九官鳥。

「お前バカ!」とか「ぶっ殺すぞ!」とか叫び穏やかではない。

遺失物として警察に届けるも押し付け合いの末、検事のもとへ。
最初は持て余していたのにいつしか「太郎丸」と名付け可愛がる。
ところが、九官鳥を飼っていた人物が判明しそれにまつわる事件が。

果たして九官鳥が話す言葉の意味は?--という話。

赤かぶ検事ら主要人物と太郎丸のユーモアあふれる会話が楽しい。

「盗人神様」は
その名が石柱に刻まれた祠にせっせとお参りにくる男がいた。
赤かぶ検事は気にも留めなかったが榊田警部補は執拗にマーク。
その結果、もと骨董屋で盗難にあった円空作の金剛神像を所持しているらしい。

一方、赤かぶ検事は売春容疑で逮捕された女の事件を手掛けていたのだが
これが後に繋がってくることとなり、法廷で驚愕の真実が明らかになる――。

ラストの「赤かぶ検事転勤す」は
高山から下関&萩へと活躍の場が移る話。
転勤で夫婦向かう途中、新幹線の中で得た忘れ物のカバンを届ける。
すると中からは1500万の現金が。
新天地での張り手形エピソードと、これから仕事を共にする
人達の人物紹介、赤かぶ夫婦の人となりがよくわかる展開。

しかし、どうしてもフランキー堺の姿が頭によぎるねえ。
まあ、本のカバーもそうなってんだからいいだろ。

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