今日読み終わったのが西村寿行「症候群」。
映画にもなった「君よ憤怒の河を渉れ」が有名。
それまで冒険小説は書いてなかったらしいけど
この作品をきっかけに一躍ベストセラー作家にのし上がる。
人間何が幸いするかわからん。
角川映画好きの人なら「化石の荒野」とかもそうですな。
あらすじと感想
「症候群」は短編集で表題その他計6作品。
なかにはこんな漢字知らんぞというのを使用したタイトルもある。
べしみとか(やまいだれに中が悪、そして見)。
読んだらなんとなく意味は分かるのだが。
西村寿行はこれまで読んでこなかったが兄貴の西村望の作品は
某シナリオスクールに通ってた時代に講師からもらって読んでた。
「水の縄」とか「鬼畜」とか。一言でいえば人間の業を描いた人。
その影響があるのかどうかはわからないけど、弟のこの作品に
貫かれているのも人間の業。ホラー映画みたいにえげつない。
男女を人さらいして透明のケースに素っ裸で入れて観察する老人の話とか。
ヒッチコックの「鳥」ではないが猿の集団に襲われる男女の話とか。
ハードロマンといわれた作者の個性全開である。
そういやこの人動物もの得意だったな、テレビドラマ「黄金の犬」。
たぶん女性が読んだらなんじゃこりゃ、となる作品集なんだが
男が読むと不思議と納得するんだなこれが。
こういう状況に置かれたら自分もこうなるかもしれない、と。
短文でトトーンと刻んでいく感じが小気味いい。
ハードロマンなんてジャンルは最近見ないわなあ。
女性受けすること優先で書く人が多いから。
でもなんかこういうのやりたい! と刺激を受けた一冊でした。