ミステリーのジャンルの1つに「孤島もの」がある。
横溝正史「獄門島」始め数々の作品があり、その島の
風習などを背景に独特のムードがあるジャンルだ。
もの書きにとって「孤島もの」「雪に閉ざされた山荘もの」は
一度は書いてみたいものだ。
西村京太郎も「南神威島」「鬼女面殺人事件」などの島ものを書いているが
「幻奇島」もそれらに連なる一冊で文明と信仰がテーマになっている。
映像化はまだなし。
あらすじと感想
特にびっくりするようなトリックがあるわけではないのだが、
島もの特有の不気味さと誰が何のためにという興味を
引っ張ってくれるので最後まで読ませてくれる。
西村京太郎には珍しく一人称だし。
何かと便利になった現代社会でこういう作品を読むと
殺伐とした事件の多い世の中を作っているのは
便利になりすぎた、あるいは便利に慣れきったせいかも
しれないと考えさせてくれる点も多々あるのだが、
だからといって不便に育つあるいは生活すれば豊かになるというものでもない。
パワーポイント1つ使うのも四苦八苦しているアナログ人間が
言うのもなんだが高度に発達した文明の中だからこそ、
人間性も磨かれるようなそういう作品を書けるもの書きでありたい。