1969年初出の作品。
「復讐の美学」ともいうべき作風が始まった一冊。
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あらすじ
神奈川の地方新聞の記者をしていた武田は
恐喝まがいで命を狙われた後、スカウトされ
デトロイト3大自動車メーカーの一つ、
クリンガー社の秘密工作員として活動する。
しかし、日本の自動車メーカーに対する
卑劣な乗っ取り工作に耐え切れなくなった彼は
すべてを暴露し告発しようとしていた。
しかし、組織の手は彼の愛する妻と娘に伸び
2人は武田の目の前で惨殺された。
怒りと憎悪に燃えた武田は復讐の鬼と化し、
たった一人でアメリカ資本とCIAに戦いを挑んでいく――という話。
感想
復讐を発端にストイックな主人公がとことん
行く道いったんで作品の萌芽的な一冊。
もうイケイケである。突き進んでなんぼ。
銃と車の描写は冴えわたり、救いがないといえば救いがない。
最終的にボニーとクライド状態で武田は死んでいくが
そこには悲壮感はない。
孤独さゆえの妻と娘に対する際立つ愛情すら
冷酷にぶち壊す組織の論理に立ち向かうタフガイ。
途中で妻と娘のことを思い出す暇もない。
とことん戦いを強いられていく。
子宮から毒針が飛び出す女スパイもいるし何でもあり。
味方は誰もいない。ついつい協力者とか出してしまいがちなものだが。
途中の山奥の話は何かの時の参考になりそう。
現代におけるハードアクションを書いてみたい。