1975年出版の作品。
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相次いで失踪する三人の女。
一人は大学生にレイプされた団地妻、浅津伊勢。
事故の偽装工作を目撃された人妻、三田村貴子。
地方なまりが出るのを恐れ、男がみんな痴漢に見える瀬尾真利子。
突然のことに驚くそれぞれの夫2人と兄貴。
失踪の裏には壮絶な復讐劇が隠されていた――という展開。
まさかそういう方向に話が広がるのかよと思わされる。
なんたって戦後の農地改革だの軍事裁判だの出てくるのだから。
極端そうにみえてリアルな感じがするのはところどころの描写が優れているからか。
その一つが伊勢が暴行されているのを目撃しても
救う気がさらさらなかった中年女、遠藤勝代。
こういう人いるよなあ。性格がねじれたやつ。
そのくせ噂好きで悪いのはすべて他人のせい。
で、こういう女の夫に限って素朴で善良(笑)
このおばはん、第1章でしか出てこないのだがインパクト抜群。
このように登場する女性の業がわりとメイン。
あとは真利子の兄、元やくざの広吉が大活躍。
人間の業を描かせれば天下一品というのは
兄の西村望さんとよく似てる気がする。
島で生まれれば上手になるんかねえ。
お兄さんは小説家としてのデビューが52歳と遅咲きだったが
寿行さんも39でだから早いほうではない。
昔シナリオ学校の先生から西村望さんの本をもらって読んだ。
「鬼畜」「水の縄」「火の蛾」インパクトあったなあ。
犯罪小説というかあれノンフィクションに近いよねえ。
ま、この作品は終わり方が強引といえば強引な気もするが
タイトルの「虚空の舞い」というのは
最後に登場人物がつぶやくわけだが、内容をよく表してる。
確かに、という感じ。