特攻秘話を映画化した「月光の夏」を久々に観る

1993年公開の映画。

あらすじ

佐賀県鳥栖市に住む吉岡公子(渡辺美佐子)。
彼女はかつて教師として勤めた小学校の
廃棄されることになったグランドピアノに思い出があった。

時は太平洋戦争の末期。
当時としては貴重なピアノの係をしていた公子(若村麻由美)。
初夏のある日、彼女を二人の特攻隊員が訪れた。
明日に迫った出撃の前にピアノをどうしても弾きたい、というのだ。

音楽学校出身の隊員(永野典勝)はベートーベンの「月光」を、
もう一人の師範学校出身の隊員(田中実)は「海ゆかば」を伴奏。
そして2人は急いで基地に帰っていった。
2か月後、戦争は終わりを迎えたが二人は帰ってこなかった――。

公子はこの悲しい思い出を頼まれて小学校で話すことになった。
すると新聞やラジオで報道されて広く認識されることとなり、
廃棄される予定だったピアノは「平和の証」として保存されることに。

ところが、ピアノを弾いた特攻隊員は誰だったのか。
その後、2人はどうなったのか。
公子の話は作り話ではないかという噂も流れ、胸を痛める公子。
地元ラジオ局の石田りえ(石野真子)の依頼で取材に歩いた
ドキュメンタリー作家・三池(山本圭)が関係者に話を聴いて掴んだものは――。


感想

企画・原作・脚本は毛利恒之。監督は神山征二郎。
近年メジャーの映画館で上映されることがめっきり少なくなった
こうした内容の映画だが、まだ20数年前は少ないけどあった。
実話の映像化というのは難しいものだが、いろいろな困難をはねのけて
映画を実現させたことは素晴らしい偉業といえる。

そもそも戦争をめぐる内容は難しい。
いくら史実に基づいたところで、自分の思想と違えば
それだけで文句をいう輩が必ずいるからだ。
これは右だの左だの関係なくどちらでも一緒。
都合の悪いものにふたをしたがるのに思想は関係ない。

映画の総製作費は2億5千万円。そのうち1億円は募金で集められた。
映画館のない鳥栖市から始まった動きが1本の映画を生み出したのである。
現在ではSNSを利用したクラウドファンディングなどがあるが
当時としては画期的なことだった。
「平和の願い」が危機にさらされようとしている昨今、
今一度鑑賞する必要のある映画ではないだろうか。

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