1977年公開の角川映画。
原作は森村誠一、当時「三村時代」と言われた3人のうちの一人。
主演は岡田茉莉子、松田優作。監督は佐藤純彌。
脚本はプロアマ問わず一般募集された中から最優秀脚本賞に選ばれた松山善三。
ジョー山中の主題歌「人間の証明のテーマ」が大ヒットし、
「母さん、僕のあの帽子……」が流行語となった。
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あらすじ
超デラックスホテルで行われたファッションデザイナー八杉恭子(岡田茉莉子)のショー。
今やファッション界に君臨する女王であるとともに、次期総裁の椅子を狙う
国会議員・郡陽平(三船敏郎)の妻としてトップレディの地位を極めていた彼女。
しかし、彼女の過去の経歴を知る者はいなかった。
ショーが始まって間もないころ、エレベーターの中で予想もしない事件が。
若い黒人の男性が胸にナイフを突き立てられ死んでいたのである。
東洋的な感じも少しあるその青年の名はジョニー・ヘイワード(ジョー山中)。
そしてポケットには西城八十詩集が入っていた――。
エレベーターガールの証言からジョニーは死に際に「ストウハ……」と口走っていたと判明。
若手刑事棟居(松田優作)とベテラン刑事横渡(ハナ肇)らは現場近くの公園を捜査。
すると古い麦わら帽子が見つかる。
ストウハ――それはストロウ・ハット(麦わら帽子)のことではないか?
そう推理を巡らせながらふとショーの会場を見上げると、
棟居たちの目に会場であるスカイ・ルームの灯が飛び込んできた。
それはまさに光の「ストロウ・ハット」であった――。
このあまりにも偶然な符号に実は事件の核心があった。
棟居はじめ刑事たちは、戦後30年様々な場所で様々な生き方をしてきた人々が
敗戦・占領という忌まわしい時代の中で、必死にもがき苦しみながら歩んできたことを
身に染みて感じることになるのである――。
感想
40年前の当時の金額で総製作費6億5千万、撮影期間5カ月。
日本映画初の本格的ニューヨーク・ロケを敢行した超大作映画。
ニューヨークの貧民街からはるばる日本へやってきて、
なぜジョニーは殺されなければならなかったのか。
映画は殺人事件で始まり、殺人事件で終わるがアクション映画ではない。
また、刑事たちが殺人犯人を追い詰めていくが推理ものでもない。
戦後の混乱期の傷跡が、現代の平穏なものを崩していくわけだが社会派とも異なる。
いろんな要素を含んだ新しい映画という触れ込みであった。
ま、原作も読んだけど松本清張の「砂の器」の影響が大きいと言われている。
そんなこと言い出したら過去の出来事が現在の犯罪に結びつくのは
全部そうなるやないかいと言われりゃその通りでもあるのだけれど。
映画の後、1978年に連ドラ化されたのを皮切りに韓国版を含めると6回映像化。
全部見たわけではないけど、1978年の連ドラは屈指の名作。
何よりももはやオリジナル作品ともいっていいぐらいの早川暁さんの脚本がよかった。
オリジナル・キャストの岸本加代子、多岐川裕美も印象的。
林隆三さんの棟居刑事は本当に雰囲気が出ていた。
映画はまあ……映画ならではの豪華な出演陣とセット、
ジョー山中の主題歌、クライマックスの山の上のシーンぐらいか。
全然映画の紹介になってないな(笑)