1969年のフランス映画。
第二次世界大戦中の各国のレジスタンス活動を描いた作品は
イタリアの「無防備都市」などいろいろあるが、その中でも
暗黒の気持ちにさせられるハードボイルドというかひたすら暗い作品。
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あらすじと感想
監督のメルヴィル自身がレジスタンス活動に従事していたそうだ。
なんせ最終的に勝利を飾るレジスタンスだが、その内実は実に複雑怪奇。
フランス国民のせいぜい1割程度が参加したに過ぎない。
もっとも日本からすりゃその割合は比べものにもならんが。
レジスタンスのやることは至ってシンプル。
祖国愛に燃えナチスの野望を打ち砕くといえば聞こえはいいが
ゲシュタポに捕まりそうになったら青酸カリ飲んで死ねとか
拷問されて仲間の情報漏らしたら必ず報復するとか行動自体はマフィアと大差がない。
ま、名目違えどやってること同じというのはいつの時代も変わらんものだが。
こうなってくるとリーダー格だろうが何だろうが関係ない。
シモーヌ・シニョレ演じる優秀な女レジスタンスも娘を餌に脅される。
元ボクサー、リノ・ヴァンチェラ達レジスタンスの仲間は
そんな彼女のたった一度のミスを許さない。
待ち合わせしといて車内から銃を向け彼女を殺す。
マフィア顔負けの連中に明るい未来なんか待ち受けてはいない。
車中の4人のその後が示されるがいずれも悲惨。
青酸カリによる自殺、ナチスに打ち首にされ、
拷問で殺され、監獄で命令を拒否し射殺……
そして映画は終わる。暗い。
そんな思いを積み重ね解放の日がやってくるわけだが
生き残った人たちの思いはいかばかりだったか。
しかし、そんな人たちの中にもアルジェリアが
フランスから解放されようと独立運動を起こした時、
ゲシュタポと同様の行動をとった人もいたわけである。
立場変われば同じことするなら人間の尊厳だのなんだのって何かね。
ま、ナチスは悪でレジスタンスは正義なんていう
単純な図式で世の中動いてないのよねえと理解できる映画。