1976年公開の日本映画。
原作はいわずと知れた山崎豊子。
当時まだ第3部以降はサンデー毎日に連載中だった。
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あらすじと感想
シベリア抑留11年、飢えと拷問の監獄、
それに続く過酷な収容所の中を生き抜いた元大本営参謀の壱岐正が、
日本に帰って来た後の第二の人生は好まざるも商社に入り
日本の経済復興に尽くすべく2次防の主力戦闘機、
ラッキード、グラントの熾烈な商戦に巻き込まれていく。
「不毛地帯」とはよく言ったもので
異常な高度成長を遂げた日本の経済の歪みと影、
それによって忘れ去られたというべきか
荒廃する人々の精神的不毛さを描きたかったのではないか。
時はロッキード事件で日本中が大騒ぎになる中、
クレームなどもあり映画はヒットした。
映像化は3回なっていて
1976年映画版、1979年毎日放送版、2009年のフジテレビ版が存在する。
主要登場人物を演じた俳優は次の通り(制作年順)。
壱岐正→仲代達矢・平幹二朗・唐沢俊明
大門一三→山形勲・若山富三郎・原田芳雄
里井専務→神山繁・高松英郎・岸辺一徳
川又空将補→丹波哲郎・江原真二郎・柳葉敏郎
鮫島辰三→田宮二郎・中村敦夫・遠藤憲一
壱岐佳子→八千草薫・山本陽子・和久井映見
壱岐直子→秋吉久美子・池上季実子・多部未華子
秋津千里→なし・大谷直子・小雪
映画は第1・2部分しかないので
原作の完全映像化という点では毎日放送版が
全31話という長いスパンで描かれ忠実な感じ。
フジテレビ版は視聴率が振るわず、短縮版になっている感じがある。
後にディレクターズカット版みたいな感じで追加しているようだが。
映画版の魅力というのはどこにあるかといえば
連載中の話題の小説を意図したわけではないが
ロッキード事件中に映像化し公開したというそのタイムリーさが大きい。
物語は川又の死の後、壱岐が辞表を出すが
大門社長が「商社の戦いも軍隊と同じだ、退職は許されん。私が許さん」と辞表を破り捨てる。
そのあたりで終わってるので中途半端感はある。
何より主人公に感情移入できるかどうかで
大きく見方が変わってくるのがこのドラマ。
しかし、壱岐に感情移入するのはなかなか難しい。
そのあたりがフジテレビで映像化した際、視聴率が上がらなかった理由では。
それよりも政治というか業界の百鬼夜行ぶりというか
日本の現実大絵巻というか集団ものとして観ればいいのかもしれない。
また、政界・業界の裏の顔というだけでなく
3つの映像化に共通しているのは大衆的な
家庭大メロドラマの要素も持ち合わせていたことが大きい。
特に連続ドラマになるとそういう部分抜きではもたない。
当時の制作費が4億5000万。
50人を超える当時の一線級のスターたちが出演。
こういう本当の大作を撮れる監督というのは少なくなってしまった。
テレビ版と比較するうえでも一度は観ておきたい映画。