映画「ジョニーは戦場へ行った」を久々に観る

1971年カンヌ映画祭審査員特別賞受賞。
「不屈の映画人」ドルトン・トランボが自分の小説を自分で監督した作品。

あらすじ

時は第一次世界大戦の最中。
コロラドの青年ジョーも戦地へと向かった。

それからしばらくして――
ジョーは前線の手術室に横たわっていた。

生命不詳、重傷兵407号として。
軍医の冷たい言葉をよそにジョーは出征する前夜のことを思い出していた。

恋人カリーンとの愛、出征の朝の別れ。
いまやジョーの身体でまともなのは延髄、性器、そして心臓だけ。

思いを伝える手段のないジョーは頭を動かしモールス信号を送る。

「外に出たい。人々に僕の姿を見せてくれ。
見せたくないのなら……僕を殺してくれ」

上司は頭がおかしいと一蹴するがそれに対して抗議する神父。

「諸君の職業が彼を生んだのだ!」

唯一心を通わせていた看護婦がジョーの思いを察し、
肺に空気を送り込む管を閉じるが上官に止められ追い出される。

暗黒の部屋でジョーはSOSを送り続ける。
声無き叫びでいつまでも――。


感想

いつ見ても強烈な作品。
小説の原題は「ジョニーは銃をとった」で
これは出征歌「ジョニーよ銃をとれ」をもじったものだ。

このあたりもトランボの批判精神といえる。

そもそもこの小説を書いたのは
このジョーと同じく両手両足、目、口、耳を
戦争で失ったイギリス人将校が実在したことをヒントにしているそうだ。

本人も「ローマの休日」や「スパルタカス」など
不朽の名作のシナリオよりもこの小説を書いたことが誇りと語っている。

赤狩りに抗し変名でシナリオを書き続けベトナム戦争が泥沼する中、
強烈なメッセージを持つ自身の小説を自分で監督して世に問うたドルトン・トランボ。

トランボの素晴らしいところは
赤狩りに抗した「ハリウッド・テン」のリーダーで
節を曲げずに最後まで己の意志を貫いたことも
さることながら、ヒットメーカーでもあったことだ。

自分の筋を通すことだけなら人間できなくはない。

それを相手に認めさせて形にして
売れ続けたことがこの人の凄いところだと思う。

それができた人はそれほど多くはない。
脚本家としてこの人を尊敬しているのはそういうとこである。

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