1965年公開の松竹映画。
原作は松本清張、監督は山田洋次、脚本は橋本忍、主演は倍賞千恵子。
滝沢修、新珠美千代、市原悦子、川津祐介、露口茂、近藤洋介、金子信雄などが出演。
複数回映像されているが、これが一番最初のもの。
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あらすじ
無実の罪で捕まった小学校教師の兄・正夫(露口茂)を救うため、
熊本から夜行列車で上京してきた柳田霧子(倍賞千恵子)。
高名な大塚弁護士(滝沢修)に弁護を依頼するためだが、
大塚は会ってくれたものの、多忙を理由に依頼を断る。
今夜の列車に乗らなければならない桐子は
事務所を出てからも電話して弁護を頼むが、
その頃大塚は愛人・径子(新珠美千代)とゴルフ場。
「兄は死刑になるかもしれません」との言葉を残して
桐子は東京を去った。
一年後、桐子から大塚にハガキが届く。
一審で死刑を言い渡された正夫が二審の最中に獄死した内容だった。
事務員(桑山正一)に聞いてやっと桐子のことを思い出す大塚。
それは大塚が奈落の底に突き落とされる始まりだった――という話。
感想
復讐物語であり一種のハードボイルドとも言えるお話。
本作を含め映画が2回、テレビドラマには9回なっている。
その内訳と1983年版の内容についてはこちら。
冒頭の夜行列車が延々と走り続けるシーンが印象的。
現代の便利な時代とは違いますからな。
橋本さんが脚本を書いた映画「張込み」を連想するけど。
やっぱり出だしをこういう風にすると
自然と桐子の視点になるから学ぶところがある。
いろいろな映像化作品の中では
事件を知る記者・近藤さんの役割だったり
桐子のキャラの取り扱いなどが時代とともに変化しているわけだが、
一切妥協感の無いこの最初の桐子の姿はとても素敵。
桐子役に倍賞さんを推薦したのは脚本の橋本さんだというのを
何かで読んだような気がするけど、慧眼というか何というか。
下町の太陽感ゼロで、氷の冷たく美しく、
それでいて内に秘めた火の国の女の魂を倍賞さんが好演。
確か原作は北九州だったような。
それを熊本にしている橋本さんはやっぱり凄いと思う。