1959年公開の独立プロ映画。
全国農村映画協会が自主製作した第1回作品。
農協婦人部が1口10円のカンパを集め製作資金にした。
原作は山代巴。脚色は依田義賢。
主演は望月優子。三國連太郎、左幸子、左時枝、西村晃などが出演。
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あらすじ
時代は明治27年、広島にある山奥の村。
地主の屋敷に女中奉公しているセキ(望月優子)。
ある日、郵便配達員の茂一(三國連太郎)にプロポーズされる。
セキは親に勘当されながらも一緒になることに。
茂一は給料の上がらない郵便配達員から荷車引きに。
二人は毎日荷車を引いて村を出て、仕事に励んだ。
姑(岸輝子)に冷たい仕打ちを受けながらも頑張って働いたセキはオト代を産んだ。
その後、セキは次々と子どもを産んで病気になった姑を看病。
その姿に姑は感謝して息を引き取った。
苦労のかいあって、車問屋を始めた茂一とセキ。
ところが、鉄道が開通してばかりか荷馬車も登場。
手車は時代の波に取り残されてしまい苦労も水の泡。
一方、子ども達の成長がセキには救いだった。
オト代(左幸子)とトメ子(小笠原慶子)は結婚し、
虎男(塚本信夫)は鉄道の機関手、三郎(矢野宣)は電車の運転手に。
ようやくセキにも安らぎの日がきたかと思いきや、
茂一が自分の愛人ヒナ(浦辺粂子)を家に連れ込む始末。
そして戦争が始まり、虎男も三郎も召集されて――という話。
感想
農村に生まれ育った女性の一代記。
カンパで製作されたことからもわかるように
同じような思いをしてきた人たちからの熱い期待が込められた名作。
主演の望月優子の名演技もさることながら、
若い時代から年老いていく茂一を演じた三國連太郎が出色の出来栄え。
出っ歯がインパクトありますわな。
浦辺粂子を愛人に持つというのがまた何ともリアリティが。
オト代も結構重要な役どころなのだが、
少女時代を左時枝、成人してからを左幸子と実の姉妹がやってるところも魅力。
左時枝さんといえば特捜最前線で
えらい目に毎回あっている人というイメージが強いのだが。
ラストシーンは確かシナリオとは違ったような。
年間選集に載ってたから比べた記憶があるのよね。
どっちがいいってそりゃ映画の方が断然いい。
やっぱりああいう場面は押さないといけない。
シナリオだとあっさりだったし、虎男が帰ってくるとはなってなかったと思う。
戦地に行った息子が帰ってくるのはベタなんだけど
それまでのいろいろがあるからもの凄く感動的になる。
少女時代のオト代が村を去るところとラストは泣けるんだよねえ。
やっぱりいつの時代のものでもいいものはいい。