名作ホームコメディ・テレビドラマ「雑居時代」を久々に観る

1973年10月から半年間日テレ系で放送された連続テレビドラマ。
全26回。メイン脚本はホームコメディの名手・松木ひろし。
主演は石立鉄男・大原麗子。富士眞奈美、大坂志郎、川口晶、山口いづみ、杉田かおるなど個性的なキャストが集結。

あらすじ

貧乏カメラマンの大場十一(石立鉄男)。
外交官の父・鉄也(山形勲)から勘当され実家に寄り付かない十一を
母・邦子(加藤治子)は心配で仕方がない。

そんな時、アフリカに鉄也が赴任することになり邦子も共に行くことに。
邦子は広い屋敷を鉄也の親友・栗山(大坂志郎)に格安で譲った。

2階を十一に貸すという条件付きだが、栗山は快く引き受ける。
栗山は男やもめで、5人の娘がいた。
春子(富士眞奈美)、夏代(大原麗子)、秋枝(川口晶)、
冬子(山口いづみ)、阿万里(杉田かおる)。

この6人家族と十一が同居したことから様々な騒動が持ち上がる。
当初、十一の味方は栗山と末っ子の阿万里だけだったが、
顔を合わすたびにケンカしていた十一と夏代は次第に惹かれ合う――という話。

感想

上手い。何回観ても完成度の高さに驚かされる。
やっぱり松木ひろしさんは上手いなあ。
一話一話の見せ方が本当に上手く、ホームコメディのお手本のような作品。

おひかえあそばせ」のセルフリメイクになるわけだが、
この時は6人姉妹でメンバー構成も優れているとは言えない感じ。

決して悪かったわけじゃないけど
メリハリというかエッジの鋭さというかそのあたりは本作の方が上かな。

「雑居時代」の成功は何といっても適材適所な配役。

栗山家では大坂志郎さんは当時父親役ナンバーワン。
自分ら的には「大岡越前」の源さんのイメージが強い。
大岡越前といえば、石立さんと大原さんが共演した回がある。
第1部の・・・何話やったっけ。
石立さんが前科者の大工で、大原さんが親方の娘という設定。
それで親に隠れて恋人同士なんだけど、ある日濡れぎぬ着せられてみたいな。
その回になぜだか源さんは出ていないのだが(笑)

富士眞奈美さんは石立鉄男さんとは俳優座の先輩後輩。
どんだけド近眼なのって話なんだけど、ああいう役似合うんだよなあ(笑)

ああいうエキセントリックで嫌われ者って役は
「細うで繫盛記」からだと思うんだけど、
うちのオカン曰くドラマ嫌いで時代劇ばかり観ていた
死んだオヤジでさえ「細うで繁盛記」だけは観ていたらしいからねえ。
ドラマ終盤に長女らしい姿を見せるところなんかさすが。
結構この長女役難しいと思うんだけど。もっと評価されてもいいのにね。

次女・夏代がドラマの成功を一番支えた大原麗子さん。
十一と夏代の掛け合いが何よりもの見どころ。
家事を切り盛りするしっかり者で気が強いがロマンチストでもある。
やっぱりキレイですねえ。放送当時渡瀬恒彦さんと結婚した頃。

三女・秋枝が芸能一家に生まれた川口晶さん。
ボーイッシュな役がとてもよく似合ったお方。
実はこの頃、もう結婚してるんだよな。
ドラマ前半より後半の方が結構活躍しているような。

四女・冬子は山口いづみさん。主題歌も歌っている。
なかにし礼作詞、大野雄二作曲。何と豪華な。
「そよ風のように 生きて行きたいの~」っていい曲じゃねーか、おい。
大野さんの音楽の功績も成功した要因だよねえ、絶対。

山口いづみさんは自分ら世代には「水戸黄門」の助さんの奥さんのイメージが強いけどね。
あとは「江戸を斬るⅤ」のお京(だったかな)。
「大江戸捜査網」も出てたし、時代劇が似合う女優さんでしたな。

五女・阿万里が杉田かおるさん。
前作「パパと呼ばないで」のチー坊以来、天才子役の名をほしいままにした。
それも頷ける名演がそこかしこに観られるドラマ。

今まで天才子役と呼ばれた人はたくさんいたけど
やっぱり本当にそう言えるのはこのお方ぐらいじゃないのかなあ。
ま、凄く憎らしいガキだったそうだが、そんなことは作品には関係なく
もっと女優としての功績を評価されてもいいのになあとは思う。

そして主演は石立鉄男さん。わかめラーメンはまだまだ先のこと。
「雑居時代」はいわゆる石立ドラマシリーズの4作目になるわけだが、
これが一番良かったと思うんだよねえ。

第1回で阿万里に言うセリフがふるってる。
「米屋の二階にいなかったっけ?」ってそれは「パパと呼ばないで」じゃねーか(笑)

あれアドリブなのかな? 台本にあったのかな?謎である。

その他、師匠役の川崎敬三さん、後輩の山本紀彦さん、
冬子の親友役の浅野真弓さん、山田吾一さん、二見忠男さんなど
バランスの良さはぴか一で文句のつけようがない。

ゲストもいろいろいらっしゃるけど
第23話の髪の長い竹下景子さんは必見かも。

全体のハイライトはやっぱり第25話になるのかな。
特に最後のところね。夏代の「それが聞きたかったの」ってとこ。
あそこは何回観ても素晴らしいと思う。

ま、しいてあげれば最終回のラストに違和感を持つ人はいるかもしれんねえ。
あれはあれでいいと思うんだけどね。

古き良き昭和…なんて言葉はあまり使いたくはない。
この頃なんてドラマにも出てくるけどオイルショックだし、
狂乱物価だし、コインロッカーベイビーだしと騒然としている。

これもドラマに出てくるけど断絶という言葉がキーワードだったし、
ある意味今より世代間の格差・断絶はあったと言えるかも。
ちょうど放送時に我々は生まれて今日まで生きてこられたわけだ。

親に感謝せんといかんわね。尊敬は特にないが。
そういう時代だったからこそ、家族のドラマが人の心をとらえたし
普遍的な要素を含んでいるからこそ根強い人気があるんじゃないかなあ。

いいドラマはいつ観てもいい。
現代の「雑居時代」を書けるもの書きでありたい。

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