1979年公開の松竹映画。
監督は今村昌平、原作は佐木隆三の直木賞受賞作。
作品のモデルとなったのは凶悪犯として名高い西口彰事件。
主演は緒形拳。三國連太郎、倍賞美津子、小川真由美、清川虹子などが出演。
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あらすじ
クリスチャンの父・根津鎮雄(三國連太郎)と
母・かよ(ミヤコ蝶々)のもとに生まれた根津巌(緒形拳)。
戦時中の幼い頃、海軍に船を提出するよう言われて
何も逆らわなかった父の姿を見てがっかりした巌はそれからグレ始める。
成長した巌を止める者は誰もいない。
見合いでもして身を固めれば少しは落ち着くだろうという父母の思いをよそに
こともあろうに巌は見合いをすっぽかしたあげく、妻となる加津子(倍賞美津子)を連れてくる。
犯罪を繰り返しては仮釈放で出てくる巌。
その間に父と加津子の間に何かあったのではと疑う始末。
家を出て行った巌はとうとう殺人を犯し金品を奪い始める。
ある時は弁護士を装い殺して金を奪い、またある時は大学教授に扮し―。
そんな巌もとうとう捕まるのだが、取り調べにも堂々として振舞う――という話。
感想
結構観た人によっては評価の分かれそうな作品。
オーソドックスな作りでは決してないし、ある意味鑑賞眼が問われるともいえる。
ある程度年取ってこんと難しいかもしれんわね。
人によっては倍賞美津子の乳のデカさだけしか印象にないかも(笑)
また、サイコパスって言い切るのも一概にはどうかと思う。
人は環境次第でどうにでも変わってしまうものだし、
よくなるのには時間がかかるが悪くなるのは一瞬だということもまた確か。
根底にあるのは父と子の対立というかな。
もし、父親が海軍に対して堂々と立ち向かっていたならこうはならなかったかも。
ああいうところは非常に共感できる。
ほとんどの場合、三國連太郎のような態度を取るけれどね。
子どもにゃわからんからねえ、そういうことは。
それを境に親というか大人自体を信じなくなるということはありますわな。
一歩間違えれば誰にでも巌みたいになってしまう危険性がある。
それが人間ってもんだわね。
ま、この映画の製作を巡ってはいろいろとトラブルがあったことは有名。
撮る可能性があった深作欣二なら、どういう映画になっていたのか。
そんなところも映画の面白さの一つ。
個人的には今村昌平さんで合ってたと思うんだけどね。
やっぱりこういうある意味土着性というか粘っこさというか。
そういう題材は独壇場ともいえるお人ですからねえ。