1994年の秋クールに放送。全10回。
脚本は水橋文美江、主演は和久井映見、唐沢寿明。
岸谷五朗、鶴田真由、豊原功補、五十嵐いづみ、森口瑤子、西田尚美などが出演。
当初、そこまで期待されてた感はなかったが、最終回では視聴率30%超え。
チャゲアスの主題歌「めぐり逢い」もヒットし、王道ラブストーリーの底力を見せつけた。
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あらすじ
食品工場で働くOL・松井ゆき子(和久井映見)。
上京した兄・菊雄(岸谷五朗)を迎えに行った日、
傘が無くて困っていた高木雅史(唐沢寿明)に赤い傘を譲る。
しばらくしてゆき子は高木と再会し、パーティーに誘われる。
高木は父・浩一郎(神山繁)が会長を務めるコンチェルンの御曹司。
年収五千万円の御曹司とアパート暮らしの地味なOLとの恋が始まった。
だが、そこにはさまざまな思惑があり、ゆき子は何度も傷つくが高木への想いは消えない。
そんな中、恋に一途な菊雄がキャバクラで働く瞳(鶴田真由)に恋をする。
瞳は高木の妹で家庭に嫌気がさし、家を飛び出していたのだ。
互いの兄と妹同士が恋に落ちる中、クリスマスイブの時を迎える――という話。
感想
“東京シンデレラストーリー”と銘打たれた本作は
話の内容もさることながらドラマの外でも印象的な出来事が多かった。
主演の和久井映見はこの年『夏子の酒』でスマッシュヒットを出してはいたが、
歴代の月9女優と比較すればまだまだ地味な存在だった。
また岸谷五朗はこれが連ドラ初出演だったんじゃないかなあ。
記憶が正しければ。一言で言えば寅さんみたいな兄貴だよねえ。
唐沢寿明は言うに及ばず、鶴田真由も主演作はあったわな。
この対照的なキャスティングもある意味シンデレラストーリー。
だからなのか、全10回と半信半疑だったんじゃないかな。
ところがふたを開けてみれば、ドラマは大ヒット。
コテコテの恋愛ファンタジードラマがウケにウケた。
王子様とシンデレラの恋愛は遊園地を貸切るわ、
乗馬するわ、ヨットでクルージングするわ、デカいパーティー開くわ。
その都度傷つきながらも、まあようやるわ的展開が炸裂。
一方で田舎の両親との絆にはホロっとさせられる。
おとっつあんは名優・河原崎長一郎、オカンは河内桃子。
このキャスティングもよかった。
河内さんなんて名家の出なのに田舎の民宿経営者やらせても上手い。
一番最初の『ゴジラ』のヒロイン役だものねえ。
こういう父ちゃんと母ちゃんのことはいいから
子どもに幸せに暮らしてほしいという姿は理想形。
現実では親ほど子どもを傷つけまくる言葉を吐く存在はおらんからね。
だからドラマを見るのよ、理想を求めて。
こんなんだったらいいのになあと思って涙する。
それがドラマってもんだわね。
運命の赤い糸ならぬ赤い傘の使い方も素晴らしい。
ラストに至るまで小道具として凄く生きてるものねえ。
ゆき子と菊雄のトボけたやり取りとかも最高。
このあたりは『101回目のプロポーズ』のスタッフが多い影響かな。
いくらなんでもエスカルゴをタニシ呼ばわりするかねえとは思うのだが(笑)
やっぱりベタなもの、というか普遍的なものは強いと再認識させてくれる一作。