1970年公開の松竹映画。
原作は松本清張「潜在光景」。いいタイトルだね。
監督は野村芳太郎、脚本は橋本忍の名コンビ。
主演は加藤剛と岩下志麻。小川真由美、芦田伸介、滝田裕介などが出演。
カメラマンの川又昂の独特の映像美も光る作品。
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あらすじ
浜島幸雄(加藤剛)は旅行代理店に勤めるごく普通のサラリーマン。
ま、加藤剛だからファンキーな役にはなり得ない。
その浜島がある日、バスの中で幼馴染の小磯泰子(岩下志麻)とばったり。
ま、ドラマ作りにおいて偶然が許されるのは出会いぐらいのもんだ。
20年ぶりの再会だったが、泰子はめっちゃ近くに住んでいた。
聞けば保険の集金をしながら一人で6歳の息子を育てているという。
浜島には結婚して10年になる啓子(小川真由美)がいた。
社交的な啓子は自宅でフラワーアレンジメント教室を開催。
団地でそんなもんやられたらたまったもんじゃない。
哀れ浜島は自分の家なのに身の置き場がちっともないが、
啓子はそんな浜島には無頓着。
当然のごとく泰子の家でのひと時に安らぎを感じる浜島。
やがて浜島と泰子は愛し合うようになるが、
一人息子の健一の様子が次第におかしくなり、そして――という話。
感想
「潜在光景」という原作のタイトルに示されているように
実は浜島の少年時代の過去が大きく話に影響されてくる。
「6歳の子どもに殺意はあったか?」というのが映画のキャッチフレーズ。
時は大阪万博で日本中が湧きかえり、
高度経済成長驀進の中、一方では公害始めさまざまなひずみが露出してきていた時代。
そういう中、普遍的な悲劇というか
いつの時代にも通じる親子の問題であったり
誰もが一つはもっているであろう影の部分を提示している松本清張はやはり凄い。
ま、こういうのお得意といえばお得意なのだが。「天城越え」だってそうだし。
自分の経験から6歳の子どもに殺意があると言い張る浜島の姿が悲しい。
シングルマザーでやつれながらも色気抜群な岩下志麻。
やっぱりキレイだよねえ、なんだかんだいっても。
「内海の輪」といい、ラブシーンが多いのねこの頃。
清純派からの脱皮って時期だったのかな。
映画はこれ1本だけどテレビドラマは3回やってる。
1971、1988、2001年。
機会があれば見比べてみたい。