1975年公開の東映映画。
深作欣二監督・笠原和夫脚本の最高傑作。
「仁義なき戦い」で使えなかった話も盛り込んだ
印象深いシーンが満載で、シナリオの見本ともいえる作品。
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あらすじ
時代は昭和38年。
舞台は中国地方の架空の都市、倉島市。
ここでは6年前に起きた大原組の内部抗争による
火種がくすぶり続けていた。
友安(金子信雄)が組を解散してから市会議員に転じ、
子飼いの川手(成田三樹夫)が新しい組を結成して以来、
元の大原組の若衆頭・広谷(松方弘樹)との争いが頻発。
倉島署のベテラン刑事・久能(菅原文太)は
広谷とは良好な関係。
6年前、反主流派の三宅組長を広谷が射殺したのを
見逃してやった過去が久能にはあった。
地方都市らしく警察とやくざの持ちつ持たれつの
関係が続いていたが、そこに県警本部からエリートの
海田警部補(梅宮辰夫)が就任したことで風向きが変わる。
背後にはコンビナート建設に絡む闇取引があった――という話。
感想
普段はやくざを演じてきた側の俳優が
今度は刑事を演じるという実録路線の異色作。
冒頭のシーンから抜群で
殴り込みに行くチンピラたちから
金を巻き上げたあげく「行って死んでこい!」と
好き放題言う久能の姿が面白すぎる。
ここでライターを巻き上げるのが
後々のシーンに生きてきて構成力が凄すぎる。
川谷拓三が取調室で菅原文太と山城新伍に
ボコボコにされるシーンは有名。
ドアにぶつかって外に「ちょっと!」と
叫ぶシーンはシナリオにはなくアドリブ。
このシーンの後の弁当の話とか弁護士の話とかの
流れの良さがものすごく素晴らしい。
久能と広谷の友情が生まれる食事のシーンも印象深い。
お茶漬けを食べてその茶碗を洗う、というところが
なかなか書けないんだよなあ。
そして白眉と言えるのがカレーのシーン。
シナリオを先に読んでたから最初観た時は
正直シナリオの感動には及ばなかったんだけど
あらためて観るとやっぱり凄くいいシーン。
海田は新しくできたコンビナート会社に就職。
「さあ、今日も元気に朝の体操をしよう」
ふざけんなコラ!と叫びたくなりますな、いつ観ても(笑)
ラストは2年後の昭和40年。
派出所の巡査に降格された久能は雨の夜、
交通事故現場で何者かに跳ねられ死亡。
切ないなあ。
これ、どっちが殺しに来たのかは見方で変わる。
殺された広谷の子分たちなのか、
裏事情を知られてる海田や友安の側なのか。
佐野浅夫の刑事、汐路章の刑事、藤岡重慶の係長、
いくつものタイプがいることでドラマの厚みが
他の作品とは段違いといえる。
しいていえばあまりにもかっちりしてるところが
難点でもあるといえなくもない。
ものづくりというのは難しい。
70年代中盤の東映オールスター総出演とも言える
豪華な布陣と名作脚本、演出が凝縮された不朽の名作。