1957年公開の松竹映画。
記念すべき松本清張作品の映画化第一弾でもある。
テレビドラマ化は実に12回を数える名作短編。
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あらすじと感想
映画と原作は結構異なるところがある。
まず原作は映画俳優の道をつかみかけた男が主人公。
順風満帆だが、一方で有名になっちゃうと
過去の殺人がばれる可能性があるので苦悩する。
で、過去を清算するために
自分が犯人だと断定できる唯一の目撃者を
消そうとあれこれ画策する――というのがメインストーリー。
どこが違うってこの主人公を女性に変えた点。
岡田茉莉子を主人公にして職業もファッションモデルに。
戦後の混沌とした時代をのし上がろうとして、
栄光を掴みかけた人間の儚さとか悲しみを描いた作品。
こういう設定は多いですな、松本清張。
動機重視をしたことで推理小説の新しい分野を切り開いた。
原作は売れない劇団員で映画出演することになったから
顔バレするんちゃうかとビビる心理サスペンス。
ところが映画はどちらかといえば心理サスペンスよりも
岡田茉莉子押しというか、そこまでサスペンスではない。
しかし、後の「人間の証明」といい過去を隠す女が似合いますな。
この頃、主人公の性転換ってなかなかしにくかっただろうに。
で、目撃者が大木実。
ベテラン刑事が笠智衆。その他は千石規子、小沢栄太郎など。
美しいから栄冠掴んだ女が、
その美貌ゆえに追い詰められていくという皮肉。
美人過ぎるのも考えもんですな。ほどほどが一番。
「顔」ってタイトル、どシンプルだけどかえっていいよね。
東芝日曜劇場、土曜ワイド劇場などでもドラマ化。
12回ってなかなか凄いですな。
一番最近の映像化が、2013年のフジテレビバージョン。
主演は松雪泰子。時代設定は昭和22年と31年。
原作の時代に近い設定にしているのは好感が持てますな。
最近は何かというと原作を現代に置き換えたがるからねえ。
権利関係とかVTRが残ってないとかいろいろあるだろうけど
映像化が多い作品については作品集ということで
DVDにひとまとめにしてほしいなあ。
追記
1979年土曜ワイド劇場版を観る。「死の断崖」というサブタイトル付き。
主演は倍賞千恵子。ここでもやっぱり性転換。
ま、高利貸しの今井健二に脅されて犯されそうになって
崖から突き落として逃げるわけだが。
この時点で正当防衛主張すりゃ通るんじゃねーか。
そんなことしたらドラマにならんわけだが(笑)
しかし、ここまでいろんなドラマが出てくるとそういう展開もいいのでは。
一回やってみようかね。
で、いろいろありましてタイムショック山口崇と結ばれる。
そして脅迫者が財津一郎。電話してチョーダイてなもんだ。
ラストは断崖というにはチープなところで終わる。
うーん。これといって特にないなあ。