永遠の名作テレビドラマ「白い巨塔(1978年版)」を久々に観る

1978年6月から翌年1月まで全31回の放送。
映画版でも財前五郎を演じた田宮二郎の遺作となった。
主役・脇役を問わず当時の錚々たる顔ぶれが揃った作品。

あらすじと感想

主なキャストは
財前五郎――言わずと知れた田宮二郎。
里見脩二――特捜最前線でも医者をゲスト出演で演じていた山本學。
東教授――悪魔の手毬唄映画版で多々良放庵だった中村伸郎。
鵜飼医学部長―テレビ版悪魔の手毬唄で放庵だった小沢栄太郎。
大河内教授―こう見えても4回結婚している加藤嘉。
柳原医局員―不毛地帯にも出てたな高橋長英。

その他、浪速大学関係は
井上孝雄、小松方正、戸浦六宏など豪華布陣。
女優陣は島田陽子、太地喜和子などなど
まあとにかくキャスティングを並べるだけでも凄いメンバーである。

当時の大阪の風景もところどころ挿入され懐かしい。
財前が妻など限られた人の前だけ関西弁になったりする。

ドラマの展開としてはなんたって教授選までが面白い。
第4話のラストで財前が初めて東教授に面と向かって対抗する。
第8話の東教授の棄権の意外性は下手なミステリよりすごい。
第9話、教授部屋での財前VS東教授など見どころだらけ。

そして激戦の末、教授になり
第11話冒頭から「財前教授の総回診~」になるわけである。
新病院で。

数々の名シーンがあるわけだが、一番好きなのは第16話。
財前が訴えられた記事を見て、実の母親が13年か14年ぶりに
財前に会いにくる。ケイ子が代わりに京都を案内して旅館に泊まる。
そこで母親がケイ子に財前が養子になるのを断っていたことを話すシーン。

私にしてあげられるのは、息子に会うのを我慢することだけと語る
母親の心情が感動的でいつ観ても泣ける。

今なお名作と語られるこの白い巨塔1978年版だが
実は視聴率はそれほど良くはなかった。
一桁台もそこそこあったし、10%台前半をちょろちょろ。
それが主演の田宮二郎が自殺したから視聴率が跳ね上がった。
残酷なもんである。

以前、取材した医師の方に「白い巨塔」について聞いたことがある。
ちょうど大学時代だったそうで、医局でも話題になっていたそうだ。

「財前と里見、どちらに憧れました?」
と聞いたところ、てっきり里見と言うのかと思いきや財前とのこと。
「だってあの人、悪いことしてないから。自分の信念貫いただけ」
まあ言われてみればそうだ。財前ファンの方が医局でも多かったらしい。

意外な答えだったけど、その先生どっちかといえば里見に近い感じの人(笑)。
一人一人の患者に時間をかけるし、久しぶりに来た患者は出迎えたり。
そういうところもまた人間の面白さだ。

2003年版のテレビドラマと比較されることも多いが
そんなことには正直あまり意味がないと思う。
どちらも優れた作品だし、そもそもリメイクは別物と考えるべき。
それは今後何回映像化されようが変わらないだろう。
それぞれの良さを出していけばいいだけの話で。

役者がいないとかいうのは演じている人たちや作り手に失礼だと思う。
そもそも指摘されるようなことはほとんどの場合先刻承知なのだ。
いろいろありながら、貫いたり妥協したり。
ものづくりってのはその連続である。
昔はよかったと言わせない作品を作っていきたい。

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