1979年公開の大ヒット映画。
その要因となったのは女工たちの苦労を
単に「女工哀史」的に描くのではなく
彼女たちにも青春があり、輝いた瞬間があった
というように喜びも描いたところが大きかった。
エンターテインメント作品としても今日に影響を与えている。
特に群衆シーンは抜群に上手い。
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あらすじ
時は明治36年2月。
飛騨から野麦峠を超え信州諏訪に向かう少女たちの集団。
毎年、わずかな契約金で100名以上が製糸工場に働きに出ていた。
みね(大竹しのぶ)、はな(友里千賀子)、
きく(古手川祐子)、とき(浅野亜子)。
河合村の4人も一行に加わっていた。
途中、無口なゆき(原田美枝子)も仲間に加わる。
3年後、みねとゆきは
社長の藤吉(三国連太郎)から一目置かれるほどの工女に成長。
跡取り息子の春夫(森次晃嗣)からも好かれていた。
しかし、ときとはなは劣等組で、とうとうときは自殺した。
正月が来ると各自それぞれ一年間の給金を持ち家に帰る。
しかし、身寄りのないゆきは帰るところがない。
みねへのライバル心もあり、ゆきは春夫に身をまかせ正月を終える。
ある日、金庫の金が紛失し新吉(山本亘)に嫌疑が。
新吉を慕うきくは無実を訴えるが検番頭に手籠めにされる。
自暴自棄になったきくは小屋に火をつけ、新吉とともに身投げする。
旧盆で工場が休みになった。
はなは工女たち唯一の理解者・音松(赤松真人)と結ばれる。
ゆきは春夫の子を身ごもっていたが、春夫には許嫁がいた。
妾になるのが嫌だったゆきは流産してしまう。
明治41年――不況でアメリカへの生糸輸出がストップ。
日増しに悪化する労働条件の中、みねは結核で倒れてしまう。
知らせを受けた兄の辰次郎(地井武男)は夜を徹して駆けつけた。
物置小屋に放り出されて衰弱しきったみね。
辰次郎はみねを背負い、ひたすら故郷に向かう。
季節は秋。美しい紅葉に野麦峠は包まれてた。
「兄さ、飛騨が見える」
それが、みねの最後の言葉だった――。
感想
当時の若手女優が輝いている映画。
日本アカデミー賞を総なめにし、年間配収2位の記録を作った。
ものを創るうえで人間のとらえ方がどれほど大事かがわかる作品。
これが単なる女工哀史だったらそれほどヒットしなかっただろう。
女工さんたちの製糸がどういう形で日本経済を支えたか、
女工さんたちを生み出す日本の経済、農村の状況――。
そうしたものを描きながら、
厳しい時代を生きる彼女たちの健気さ、明るさ、寂しさを表す。
現代のエンターテインメント作品にも通じる部分は大きい。