1978年公開の松竹映画。
監督は野村芳太郎、脚本は井手雅人。
出演は緒形拳、岩下志麻、小川真由美など。
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あらすじと感想
親が我が子を殺そうとする哀しい話。
いまや珍しくもなんともなくなってしまった。
じゃあ昔はそうでなかったかといえばそんなことはない。
確か「黒い手帖」に著者が書いていたと思うけど
検事から聞いた話がベースになってる短編なんだよねえ。
子供が一人生き残るのも実話で、父親は獄中で発狂して死ぬんだったっけ。
実際は骨董屋なんだけど、緒形拳のやってるのは印刷屋。
小川真由美演じる愛人に3人の子供を産ませていたのだが
工場が火事で焼け、経営が苦しくなり月々の手当てが滞っていた。
怒った女ねずみ小僧、バーディー大作戦かアイフル大作戦かはさておき
3人連れてやってくる。
ふてぶてしくわめきまくる小川真由美。
ここでもう一人恐ろしい方がいた。岩下志麻演じる緒形拳の嫁はん。
後の極妻以上にある意味怖い。
氷のような視線を飛ばされ、2人の間でオロオロ緒形拳。
これがホントの「復讐するは我にあり」状態。
小川真由美が夜中に子供を残して失踪。
まさか我が子を捨てるわけがないと思っていたが後の祭り。
岩下志麻は全く面倒を見てくれない。
ここから本当の地獄が始まる。
まず末っ子が衰弱死。
棚の荷物にかかっていたビニールシートが
なぜだか寝ていた末っ子の上に落ちていたのが理由。
気が楽になったろう、と言い放つ岩下志麻。ひたすら怖い。
その通りホッとしている緒形拳もまた怖い。
続いて緒形拳は長女を東京タワーに置き去りに。
自分の名前を知ってるかどうかをお子様ランチ食わせながら
確認する緒形拳がたまらなく哀しい。
長男だけはかばおうとする緒形に、志麻姐さんは青酸カリを渡す。
「あんた、覚悟しいや」とは言わんがマシンガンぶっ放すより怖すぎる。
かくして緒形拳は長男を連れて殺す旅に出かけるのだが――という話。
ラストシーンは緒形拳と長男との再会。
ここで長男が発した言葉だが、果たしてどちらの意味なのか。
ここのラストは本当に感動した。涙なくしては観られない。
人間の弱さと親子の情を描いたいつ観ても感動の名作。
2002年には火曜サスペンス劇場で映像化。
主演はビートたけしと黒木瞳。観てないのはなんでだろ。