アリバイ崩しの傑作・松本清張「時間の習俗」を久々に読む

1962年出版の作品。「点と線」の三原警部補と鳥飼刑事が再び登場。1963、1982、2014年と3回テレビドラマ化。あらすじ交通業界関連誌の編集者が弁天島で何者かに殺害された。彼が宿泊していた宿の女中は、女連れだったと証言。しかし、その女性の足取りはつかめず行方不明となっていた。有力な容疑者が見つからないまま時間だけが過ぎた。三原警部補は大手タクシー会社の専務・峰岡に目をつける。だが、峰岡には殺
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屈指の名作・松本清張「球形の荒野」を読む

1960年1月号から2年にわたり「オール読物」に連載された推理小説。1975年に映画化、テレビドラマ化は実に8回を数える名作。あらすじ旅で訪れた奈良の唐招提寺の芳名帳に外交官だった叔父・野上顕一郎の独特な筆跡に似た文字を見つけた芦村節子。大戦末期に某中立国で亡くなった叔父の筆跡がなぜ?節子はそのことを身内に話すも、誰も取り合ってはくれない。ただ野上の娘・久美子の恋人で新聞記者の添田を除いては――。
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砂糖業界の暗部に迫った作品・松本清張「溺れ谷」を読む

1964年から1年あまり小説新潮に連載された。タイトルの「溺れ谷」とは、かつて谷であった場所が海面上昇などの現象により入り江になった場所を指す言葉。要するに水面の下にはかつて陸であった複雑な地形が隠されている。なかなか見通すことができないのを利権の構図に例えているわけ。あらすじ三流経済紙の記者・大屋。彼の仕事は企業の提灯記事を書き広告料を取る仕事。いわゆる「トリ屋」である。彼は砂糖業界の風雲児・亜
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松本清張「死の発送」を読む

1961年に連載された後一時中断し1982年に刊行された珍しい作品。2014年にフジテレビ開局55周年作品として向井理主演で映像化されている。あらすじ5億円の税金を横領した罪で服役していた元官僚の岡瀬が出所した。5億円の行方のうち1億円は行方不明。夕刊紙の記者・底井は編集長の山崎に岡瀬の尾行を命じられ、その意図に疑問を持ちながらも岡瀬の後を追う。しかし、2カ月近くたった後、岡瀬は東北の山中で死体と
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松本清張ミステリ「黒い樹海」を読む

1960年に刊行された長編ミステリ。あらすじある日突然、姉・信子を事故で失った妹・祥子。なぜ東北へ旅立ったはずの姉は浜松で死んだのか――。祥子は姉の死の真相を探るため、姉が働いていたR新聞文化部に就職し、信子と接触のあった人を調べていく。しかし、誰かが先回りして手掛かりとなる人が一人また一人と消えていく――。果たして姉を見捨てた人は誰なのか?――という話。感想昨年、北川景子主演で5度目のテレビドラ
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社会派の面目躍如・松本清張「落差」を読む

1961年から1962年にかけて読売新聞に連載された小説。ミステリーというより社会小説?みたいなもの。あらすじ島地章吾は日本史教科書編集の分野で著名な助教授。しかし、仕事より変わり身の早さと女癖の悪さで名を知られていた。ライバルの歴史学者細貝の妻、景子に興味を持ち細貝が急逝したのをいいことに愛人にする始末。その一方、学生時代の友人佐野の妻、明子にも迫る。教科書編集の分野では権力者なので販売を伸ばし
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