1994年出版の作品。
1995年にTBSで映像化。
ゲストは山本陽子、生稲晃子、萩原流行など。
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あらすじ
上野公園で発見された男の毒殺死体。
翌日、多摩川で見つかった女の絞殺死体。
どちらも架空の名刺を持っていたという点で共通があった。
身元がわからない2人に捜査は難航するが
宮城県松島在住の小笠原ゆきという女性から
「被害者は自分の叔母ではないか」との情報が。
十津川警部と亀井刑事は現地に向かうが
待ち合わせをしたはずのゆきの姿はない。
住所を訪ねてみると旅行に出たという。
一人残った亀井は初恋の人・綾子に再会するが彼女も突如失踪――という展開。
感想
亀井刑事初恋の人に再会編。
原作ではゆきの住んでいる店と綾子が取引がある設定だが
映像化作品ではゆきの勤め先が綾子の会社になっている。
また、原作ではゆきだけではなく綾子も殺害されるが
ドラマでは亀井が綾子の入水自殺を止める。
結局、事件が起きた背景には県知事選挙をめぐる話がある。
善意の応援と少しの打算が死を招いた哀しい物語。
ドラマでは過去の事件の質が少し違う。
また、綾子と犯人の関わり方もドラマの方が濃い。
全体的に亀井の初恋物語で押すならとことん行けばなあと思わんでもない。
最後の方はそんな話はどこへやら状態。
しかし、十津川が「もっと大きな悪を追及したらどうですか」と語る犯人に
告げる言葉はなかなかいい。
「誰でもそう言うんですよ。だが、私は別の考えを持っているんです。
百人を殺した犯人はもちろん捕まえますが、だからといって一人を殺した
犯人に目をつぶったりしない。どちらも殺人犯だからです。
これが私の考えている正義というものです」
チャップリンの「殺人狂時代」の有名なセリフを連想させる。
そして黙ってしまった犯人に十津川は告げる。
「私は東京に戻ってから、今いった正義を実行しますよ」