傑作時代小説・笹沢左保「木枯し紋次郎」(上)を読む

2012年に光文社から出版された
ベスト・オブ「木枯し紋次郎」の1冊。

収録作品は10篇。

「赦免花は散った」……小説現代1971年3月号
「童唄を雨に流せ」……小説現代1971年6月号
「川留めの水は濁った」小説現代1971年10月号
「木枯しの音に消えた」小説現代1972年3月号
「女郎蜘蛛が泥に這う」小説現代1972年7月号
「夜泣石は霧に濡れた」小説現代1972年10月号
「上州新田郡三日月村」小説現代1973年2月号
「命は一度捨てるもの」小説現代1975年8月号
「年に一度の手向草」…小説現代1976年12月号
「生国は地獄にござんす」小説現代1978年3月号

ベスト版とあって名作ぞろいなのだが
やはりシリーズ第1話である「赦免花は散った」の出来は素晴らしい。
いきなり流人の島が舞台というのも設定の妙。
渡世人が主人公の話でこんなとこからスタートというのがすごい。
島抜けをするつもりがなかった紋次郎がなぜ島抜けに参加したか。
そして知らなかった真実とは――このあたりの話の展開が素晴らしい。
1972年には菅原文太主演で木枯し紋次郎が
映画化されたがその原作となったのがこのシリーズ第1話。

中村敦夫主演で大ブームを巻き起こしたテレビシリーズの
第一話原作となったのは「川留めの水は濁った」。
紋次郎がこの世に生を受けることができたのは間引きされかけた
紋次郎を助けてくれた姉のお光がいてくれたこそだ。
そのお光がらみの話なのだが、テレビドラマも悪くはないが
やはり原作小説のほうが濃密だと思う。
ゲストは小川真由美、小池朝雄など。

「虚無と孤独」を投影し70年代を代表するヒーロー、木枯し紋次郎。
これだけの作品を短期間で連打した著者の活動量は凄いの一言。
なんせ最盛期には月産1500枚書いてたらしい。
見習わなあかんね。現代の紋次郎を描いてみたい。

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