幻戯シリーズ1・西村寿行「昏き日輪」を読む

1979年に「オール讀物」に連載された作品。

あらすじ

太平洋戦争で戦死した夫の墓参りにブルネイを訪れた静代としげ乃。
しかし、帰国当日荒天のために定期便が離陸不能。
急きょ貿易商を名乗る日本人が仕立てた飛行機に乗るが
その機体は忽然と姿を消した。いったいどこへ消えたのか?

乗客には現地に進出していた日本の商社員や
親善訪問中の映画女優5人も含まれていた。
事件の背後にあったのは経歴詐称の日本人が
女優達を人身御供に反連邦組織のゲリラの基地に差し出したこと。

母。静代の身を案じるやくざな男・雷四郎、
同じくしげ乃の息子で刑事・白川は捜索隊に
参加したいと対策本部に詰めかけるが断られる。
普段は対立する関係の2人だが、自費でブルネイにわたることを決意。
そこに現地商社員の婚約者の医師・剣持も参加。
かくして個性豊かな3人の命を懸けた旅立ちが始まったのだった――という話。


感想

主人公の一人、宮田雷四郎は「幻戯」シリーズでも登場。
一匹狼の破天荒やくざで、単純な性格だが憎めない。
相も変わらずバイオレンスな展開だが、液化天然資源を巡る利権争いとか
現地の自然や風土、地理的条件などを丹念に描いていて面白い。
3人に味方する松野ヤエも印象深い。
大人の大冒険小説ともいえる作品。
なんてんだろ、こういう作品書いてもいいんやねえという感じ。
なんでも突き抜けてないと生き残っていけませんわな。
どの作品読んでも刺激になる、温故知新を感じる作品。

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