西村京太郎19「殺人者はオーロラを見た」を久々に読む

1973年出版の作品。
アイヌ問題を描いた作品で、登場人物の大学教授・若杉は
TBSの月曜ミステリー劇場で冤罪シリーズの主人公としてドラマ化。
内容はほぼ関係ないけど。

あらすじ

沖縄出身の歌手が殺害された。
被害者の首には赤いスカーフ、胸には小さな銀色の矢が。

捜査が難航する中、捜査本部に殺人事件を
なぞったと思われる詩が載った手紙が届く。

それはアイヌの叙事詩ユーカラの一節だった。
一週間後、第二の殺人が起こり、またもやユーカラの一節が。

捜査本部の吉川刑事はアイヌ混血の
大学教授・若杉に協力を求め、容疑者を逮捕する。

その男は若いアイヌだった。

すんなり自供したが裁判が始まった途端、一転して無罪を主張。

しかも彼には鉄壁のアリバイが。
男は無罪となるが若杉は彼の犯行だと確信する。

若杉は鉄壁のアリバイを崩せるのか?
そして事件に隠された真実とは――という話。


感想

北海道のアイヌと沖縄との関係など民俗学的にも興味のある内容。
初期の社会派らしさ全開の展開で、優しい眼差しに満ちている。

最後はかなりやるせない気持ちになること請け合い。
この頃はまだ先住民族の権利というものがそれほどきちんとしていない。

21世紀になって少しは進んだが、
今度は札幌市でアイヌ政策に関する官製談合があったことが発覚した。

いつの世も差別解消の裏で利権をむさぼろうとする者がいる。

嫌なものだ。

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