西村京太郎228「特急『しなの21号殺人事件』を読む

1995年初出の作品。
1997年にTBSの十津川警部シリーズでテレビドラマ化。

あらすじ

長野県・善光寺のおみくじ「凶」を持たされ
次々と起こる謎の連続殺人事件。

犯人に振り回される十津川と亀井だが
何とか第4の殺人だけは寸でのところで阻止する。

しかし、入院した女性は口を開かない。

自分が狙われているというのに、と
イライラする亀井と落ち着こうと努力する十津川。

しかし、犯人は亀井の娘を誘拐し
十津川に女を解放せよと迫ってきた。

果たして十津川の下した判断は――という話。

 

感想

映像化に際しては割と忠実に再現している部分もある。

後半、亀井の娘が誘拐されるというのが
ポイントになってくるので冒頭に亀井家を出している。

まあそれはドラマ作りとしては必要な部分だわな。

犯人の動機は要は復讐。
共犯として彼女がいるわけだが、
これが原作と映像化作品では印象が随分違う。

原作では彼のためなら殺人もいとわない感じの
激しい女なのだが、映像化では小林綾子。

おしんである。

我慢してナンボである。

したがって子供誘拐してもチートモ迫力がない。

まあそれは映像化の際の設定で
そこまでいろいろあるんでしゃあないといえばしゃあない。

ラストも映像化では2人とも捕まるが
原作は男が女を逃がすことを要求し
十津川は亀井の娘の居所を交換条件にする。

男は捕まり死刑判決。

同じころ、女は奥多摩で青酸カリを飲み自殺。

「警部はこの結果を予想していたんじゃありませんか」

亀井が十津川に聞く。

十津川はそれに答えず、亀井に
奥多摩に花束を捧げに行こうと話して終わる。

2時間サスペンスが廃れて復活はあるのかという話だが
もともと10年周期で浮き沈みはあった。

最初のバブルは90年代前半。

タイアップで安く済まし、地方の宣伝にもなるしで
バカバカ毎日のように2時間サスペンスがあった。

ファジーサスペンスみたいな作品ばかり。

で、一度廃れて復活したのがミレニアム前後。

片平なぎさなど2時間サスペンスの顔が定着したことと
視聴率が全体に低下傾向にある中、
根強いファンに支えられ高視聴率を獲得するなど理由はいくつかあった。

しかし、3度目となるとかなり無理がある。

テレビ自体の視聴率がドツボにはまり
地方は疲弊しスポンサーは離れといいとこがないからである。

刑事ドラマの連続ものが増えたからという話もあるが
あれはこじつけとしか思えない。

浅見光彦シリーズも家政婦は見た!も
連ドラやったが決して成功はしなかった。

うまいこといったのは「相棒」ぐらいなもんだ。

 

話はそれたが2時間サスペンスはかつて犯人はバカバカ死んでた。

それこそ東尋坊から何人飛んどんねんという話。

しかしまあ最近はなんせいい話にもっていこうとしがちだった。

犯人は最後説得されて捕まり、家族抱きあうみたいな。

そういう作りがだんだんズレてきたのかもね。
まあ死ねばいいというもんでもないけど。

いずれにしても2時間サスペンスの復活は険しい。
でも復活してくれんとミステリ作家も困んのよねえ……

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