コンビニ本から文庫化になった一冊。
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「昔はよかった」という言葉と
「今の子どもは」という言葉ほど嫌いなものは無い。
だいたいそんなことは
アリストテレスの時代から言われている。
過去のノスタルジーに浸りたがるのは
今で勝負できてないからだろうと思ってしまう今日この頃。
昭和30年代をリアルタイムで生きたわけではないが
いろいろと面白い情報が手に入るこの本。
まず日本国民全員が毎日白い米を
食べられるようになったのは昭和30年代後半とのこと。
格差を感じられないほど貧富の差があるのが当たり前状態。
情報化社会など程遠い時代だった為
社会の不公平が見えにくかった。
現代は情報が溢れすぎてかえって
真実が見えにくいような感さえあるが。
意外なのは女性の自殺者が現代よりも圧倒的に多いということ。
当時から日本の自殺者は多かったのだ。
感染症で死ぬ人間も多く
病気に罹るのはそいつの身体が弱いというのが当時の一般的風潮。
そこに科学的分析などあるはずもない。
「昔は近所の人が・・・」なんて
人間関係の濃さを強調して昔の良さを語る人もいるが
付き合いが濃いのと仲がいいかは別である。
互助会的関係はトラブルのもとにもなり
洗濯機を買っただけで母親が怠け者扱いされ
子供がいじめられるなんて話もあった。
ロクなものではない。
自分が育った昭和40年代後半から
50年代を振り返っても、まず貧しかった。
風呂は銭湯だったしおかずはコロッケ30円。
マンション住んでる奴は金持ちだと思ってたし
ビデオデッキなんてあるはずもない。
しかしそれが苦痛に感じたことは無いし
ほとんどそんな環境だった。
でも昔に戻りたいとは全く思わない。
つくづく現代に生きててよかったと思う。
便利なのが一番だ。