1978年出版の作品。
あらすじ
ルポライターの天知は大学教授・西城の誕生日パーティーに招かれた。
招待客は全部で13人。その中には西城の敵といえる存在も少なからず存在した。
西城の目的は娘・富士子の婚約を発表することだった。
富士子は華こそあるもののそれほど大成していない女優。
相手として選ばれたのは弁護士と医者。
どちらが選ばれるのかは西城のみぞ知る。
しかし、肝心の富士子は天知に恋をしていた。
いろいろな思惑が交錯する中、翌朝密室状態の離れの地下室で
西城夫妻の服毒死体が発見される。床にはWSのダイイング・メッセージ。
自殺説と他殺説が飛び交う中、天知の推理した哀しい答えとは――という話。
感想
本格ミステリ×ラブロマンスといった作品。
その独特な雰囲気作りはさすがの一言。
たぶんクイーンの「Yの悲劇」がヒントなのかな。
天知は「他殺岬」でも活躍した主人公だが
今回はより探偵っぽい存在で魅力がある。
こういう主人公の創り方もありかな。
明智小五郎みたいな印象も受ける。
富士子の婚約者候補の弁護士と医者が
それぞれ自殺説と他殺説を一生懸命しゃべるところもどこかユーモラス。
ラストのやるせなさと切なさがとても印象的な作品。
ドラマになっててもおかしくないと思うんだけど。