1981年、書き下ろしトラベルミステリ第5弾として
カッパ・ノベルズから刊行された作品。
特徴はその後続くシリーズの中での名脇役、橋本刑事が初登場ということ。
また、トラベルライター青木亜木子の初登場作でもある。
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あらすじ
十津川警部の部下、橋本刑事が突然辞意を申し出た。
田舎の母の体調が悪く、実家の旅館を継ぎたいとのこと。
刑事としての資質を評価していた十津川だが、
言い出したら聞かない橋本の性格を理解しているので
亀井刑事とともに空港に見送りに行く。
ところが、橋本は空港に来なかった。
警視庁に戻ると部下の西本刑事が
昨夜上野で橋本らしき人物を見かけたという。
なぜ? 困惑しながら夕刊を読んでいると
十津川の目に上野から出る夜行列車で
殺人事件が起きたとの記事が目に留まる。
その後も橋本が辿っているらしいルートで
ことごとく殺人事件が起こる。
半信半疑で橋本の後を追う十津川と亀井だが
橋本が犯人と思われる証拠が次々と出てくる。
果たして犯人は橋本なのか?
事件を追う十津川達が掴んだ真相とは?・・・って話。
感想
ありがちな話だけど相変わらず引っ張り方がうまい。
こういうのを身につけないと常に読まれるレベルの話は書けんのよねえ。
土曜ワイド劇場で2回ドラマ化されてる珍しい作品。
1982年と2004年。
最初に映像化された時は橋本刑事を
沖雅也がやっている。似合いそう。
「北帰行」の歌詞などもあるが
本当に北海道の人達に人気の曲なのかね?
小林旭が歌って大ヒットしたのだが
もともとは戦前の旅順高校の寮歌とのこと。
280カ条もあった校則への反発や
抑圧的な体制に対する反発、
個人が尊重されないことなどへの憤りの歌。
憤り、っていう点でいえば作品に反映されてますわな。