1973年に刊行された長編伝奇ミステリ。
まだトラベルミステリー書くより5年ほど前。映像化はまだなし。
以前読んだ「幻奇島」や「南神威島」に連なる作品。
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あらすじ
新幹線の車中で男が死亡。
ポケットからはアカベと呼ばれる真っ赤な花と
湯山仁三郎という弁護士の名刺が。
アカベはかつて流人の島だった
愛知県の孤島・恩根島のみに咲くという。
偶然となりに座っていた弁護士の中原正弘は
男が言い残した「早くしないと妹も・・・」との
言葉を手掛かりに、秘書の京子とともに島へ向かう。
余所者の二人に島民の口は固く
二人に危機が訪れる中、殺人が起こる・・・という話。
感想
江戸時代に廃藩になり島流しとなった
一族の怨念が渦巻くおどろおどろしさもある。
横溝正史ほどではないが。
「早くしないと妹も……」って「獄門島」じゃないんだから(笑)
この3つの島ものミステリは雰囲気がよく似ている。
それぞれ話の内容も終わり方も違うけど、
文明批判というか因習というものに対する思いというか
社会派的要素も帯びている。
この頃こういうのがやりたかったんだろうなあ。
環境に縛られる人間の弱さというか。
ラストは3つの中では一番爽やか。読後感もいいし。
ちなみに「鬼女面」は「きじょめん」と読むらしい。