1965年刊行の検事霧島三郎シリーズ第3弾。
1988年に火曜サスペンス劇場六月の花嫁シリーズでテレビドラマ化。
主演は浅野ゆう子。田中健、高松英郎などが出演。
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あらすじ
龍田恭子と無事結婚した霧島三郎。
その恭子の親友、尾形悦子が結婚することになったが、
新婚初夜に夫・塚本が失踪し、翌朝死体となって発見された。
事件を担当することになった三郎。
捜査が進むにつれ、大学助教授だった塚本には
いろいろと謎があることがわかってくる。
塚本の父は獄死、末の弟は悪の道に進んだあげく焼死。
残されているのは兄だが、兄との間にも隠されたものが。
そして兄もまた何者かに殺害された。
三郎はなぜ新婚初夜に塚本が失踪したのかに目を付けた――という話。
感想
面白い。
少々古めかしいところはあるけどイケてる内容。
どこがイケてるかというと最後まで犯人がわからない。
構成というか見せ方がやっぱりうまい。
当たり前と言っちゃあそうなんだけど
数あるミステリの中には無理やり遠回ししてるみたいなのもあるからね。
特に映像化されたものに顕著。
犯人はどっちだろう?どいつだろう?ってのが
ミステリの魅力なのよね、やっぱり。
段取りに見えると興ざめするし。
あ~この人なんでしょ、それでこうなるんでしょ、
やっぱりね~なんてそんなミステリ読んでても観てても面白くありませんわな。
時間を返せとすら言いたくなる場合もある。
かと思いきや無理やりどんでん返しもちょっとなあって時がある。
そのあたりのバランスいい作品って意外と多くないような。
そういう点でもこの作品はいい。
事務官とかサブキャラも存在感があって。
あと登場人物のバックボーンが時代を感じさせてくれる。
獄死した塚本の父親とか、あるいはそれに関連する人物とか。
三郎、恭子、悦子の関係とか。
これは未読だけど1作目2作目にあるみたい。
意外にも検事霧島三郎シリーズではドラマ化なし(たぶん)。
六月の花嫁シリーズなもんで
サブちゃんは出てこんと悦子の視点で行ってるんでしょうな。
それでも十分面白いと思うけどどんなんだろう。
再放送される機会があったら観てみたいやね。
しかし、1964東京五輪の時代の作品なのに
現代でも通用する普遍性が素晴らしい。
時代を問わず、いいものは常に新しいってのはホントだね。