1983年初出の作品。
その際のタイトルは「死体が飲んだ水」。
1987年に現在のタイトルに改題、2008年には改定完全版が発刊された。
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あらすじ
定年間近の札幌署の刑事・牛越。
突如降ってわいた実業家殺しに当初は仕方なしに捜査するも、
その複雑怪奇さに興味を覚え、いつしかこれを解決することが使命となってくる。
事件は元官僚で天下りしていた実業家・赤渡がバラバラ死体となって
二つのトランクに詰められ、家族のもとに送られてくるという前代未聞の話。
鑑識の結果、死因は溺死と判明。
なかなか連携が取りにくい中、牛越は殺害現場を銚子と特定。
苦心の末、指紋を発見したことが特定に繋がったのだが、そこからまた捜査は難航。
何せ一人ずつ浮かんだ容疑者を潰していった結果、
残す一人には鉄壁のアリバイがあったのだ。
過去の事件と現在の事件が繋がったその先にあったのは――という話。
感想
理想的な展開というか個人的に好みの展開。
謎が謎呼ぶ殺人事件、ってわけではないが
アリバイ崩しが二転三転する展開が素晴らしい。
犯人が最初から絞られ過ぎないのもいいしね。
一つずつ潰していってなんでこの人がってとこから調べていくのが。
駅弁のアイデアとか。なるほどなあと。
で、それをうっかり話した人間が全く犯人ではないという(笑)
ま、最後のしゃべりが長いのはあれだけど。
でも、やるせなさと憤りが感じられるいい作品だと思う。
タイトルもいいしね。まさに、死者が飲むべき水ですわな。
不条理ってのは世の中から無くならんもんかね。
映像化されてないのが惜しい。ラストシーンなんか凄くいい絵になると思うんだけどなあ。