生島治郎「死者だけが血を流す」を読む

1965年出版のハードボイルド。

あらすじ

引揚者で大学時代、学生運動でも活躍した牧。
今ではヤクザの世界に入り、インテリヤクザとして頭角を現していた。

しかし、組の仕事で故郷の北陸に戻った際、
地元の有力者で牧が忌み嫌う伯父と手を結ぼうとした
幹部の顔を潰したことから組から命を狙われる。

自分の兄貴と慕う男を刺殺したが、正当防衛とされる牧。
変わらず組につけ狙われる牧に、救いの手が。
それは伯父の政敵で国会進出を目指す地方議員・進藤だった。

進藤の秘書となりともに国会を目指す牧だが、
選挙戦の最中に進藤の家が右翼に襲撃され、進藤の妻・由美が殺された。

その場にいながら防げなかった牧は責任を感じ、
秘書を辞職して一人で犯人を追うのだが――という話。


感想

事件の真相はミステリを読み慣れている人であれば
そんなに難しいものではなく、やっぱりねえという感じ。

しかし、主人公・牧のキャラクターづくりは見事。
いろいろと共感するところがある。

また、55年ぐらい前の地方政治の姿、
社会に生きる人々の姿なんかは非常に参考になる。

能なしと性悪が結婚して政治という赤ん坊を生み出しているわけか、
なんて牧が心でつぶやくところなんかは全くごもっともで、
税金でその子を養っている庶民はいい面の皮だってのは現代でも変わりはない。

そこに外国スパイが跳梁跋扈しているんだから余計にひどい。
現代社会の中でどういう風に生きていくかというヒントもあり面白かった。

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