和久峻三「裁かれた銀行」を読む

1978年出版のノンフィクション・ノベル。
滋賀銀行九億円横領事件の内容を裁判記録によって描いたもの。

後に起こる足利銀行事件、三和銀行オンライン事件と並んで
女子行員による銀行犯罪事件として名高い事件の話。

あとがきにもあるが、女性の犯罪者は男性よりも年齢層が高いという。
うぶなオールドハイミスが男の味を知って溺れていき、詐欺に手を染める――。

下世話な見方をすればそのまんまなわけだが、
その裏にあるものというか育ちや環境など人間形成の部分も描かれている。

決してその犯罪者だけに起こるものではなく
誰もが成り得る可能性を秘めているのが人間というものなのだろう。

タイトルが「裁かれた銀行」となっているように
銀行の管理のずさんさを指摘していることも忘れてはならないポイント。

だいたい横領した人は仕事もできる女性だったことも共通している。
それまでに発覚する機会はあったろうに見逃しまくってた方も悪いといえば悪い。

この事件は後に土曜ワイド劇場でもドラマ化されたし、
映画やドラマにもなった「紙の月」のモデルとも言われている。

現代でも起こり得ないとはいえないし、
もしかすると現在でも進行中なのかもしれない。
「智者は歴史に学び、愚者は経験から学ぶ」というのは真理なのだ。

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