1973年に全集に収録された長編推理小説。
もともとは「象と蟻」のタイトルで
1969年から1970年にかけて別冊文藝春秋に連載されたもの。
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あらすじ
時は1969年、ベトナム戦争が泥沼化している時代のラオス。
内戦が続き、ベトナム戦争の影響もあり混沌としていた。
そのラオスに雑誌の取材と称し、訪れた谷口。
彼の目的は取材でラオスに来て謎の死を遂げた
友人・石田の死の真相を調べることだった。
通訳兼ガイドとして現地在住の山本に案内を頼み、
山本と共に夜の街を歩き、阿片窟にも潜入し
石田の足跡を追っていくのだが、山本が殺されてしまう。
ラオス内戦と石田、山本の死には関連があるのか?
暗躍するCIAと謎の日本人マダムの正体は?
ベテラン特派員シモーヌとは何者か?
謎が深まるばかりの状況の中、谷口は――という話。
感想
燃えるインドシナ半島という感じの1960年代後半の話。
興味深い話なのだが、いかんせん展開がだるいというか、
結末が「?」って感じというか。
そもそも谷口は何しに来たのか。
石田は特別友人というわけでもないと言うし、
そのあたりの設定に枷がない。ていうか緩い。
で、本人に特に危害がやってこない。
こういうところも緩い。
CIAの話なんかもあるけど、
ラオスって結局ソ連寄りになってくのよね、確か。
復讐なら復讐で行く道いったらんかい、
という感じの方がすっきりしますわな。
取材をどうフィクションにし、
読者にカタルシスを感じてもらうかという点で参考になる一冊。