1990年刊行の短編集。
単行本未収録作品をまとめたもの。
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1「悪女の舞踏会」は1964年発表の作品。
金持ちの後妻に収まっている女。
その彼女にいいように弄ばれた2人の男と恋人を奪われた女。
ある日、誕生パーティーにその3人が招かれる。
それぞれがこのふざけた女を殺したいと思っていたのだが、
金持ちの夫が彼女のグラスに入ったシャンペンを飲んで死んでしまう。
女に恨みを持った誰かの犯行か、それとも財産目当ての女の犯行か。
いったい誰が犯人なのか――という話。
こういう話好きだけど、いまいちひねりがない。
誰でも最初から上手なわけじゃないのねと変に自信が付く。
1990年にドラマ化されている原作はこれなのかな。
元ピンクレディーのケイちゃんが出てるみたいなんだけど。
2「女に気をつけろ」は1965年発表の作品。
ふらりと新宿に遊びに出た男が見知らぬ美人に誘われる。
ラッキーと思いホテルに連れ込んだのはいいが、何者かに殴られ気絶。
気付くと女は殺されていて、男は追われる身に。
男は自分の手で真相を突き止めようとするのだが――という話。
これはラストのアイデアが結構いい。
反面、途中の手掛かりというか真犯人見つける課程が相当都合がいい。
3「女が消えた」も昭和40年の作品。
ポンコツ車で彼女と日本一周旅行に出た男。
車が故障したので彼女が修理を頼みに街に行くが帰ってこない。
男は彼女を探すが、町の誰もが口をそろえて彼女の存在を否定。
町民全員がある新興宗教の信者という特異な状況の中、
男は彼女の失踪の謎を追求していくのだが――という話。
一瞬SFかいなと思ってしまう展開。
信心深いのも考えものですな。
4「女とダイヤモンド」も1965年の作品。
ある女を探すよう頼まれた男は、その女が盗品のダイヤを持っていることを知ると
依頼者を裏切ってダイヤを換金するため東京から大阪に飛ぶのだが――という話。
ま、これでダイヤの隠し場所わからんかったらアホでしょ。
5「拾った女」は1963年の作品。
1961年に秋田県で起きた偽札事件「チー37号」事件がモチーフ。
失業中の男が新札の入った財布を拾った。
そして見知らぬ美女から誘われる。
いいことづくしかと思いきや、朝目が覚めたら財布はなくなっていた。
それから3カ月経ったある日、その女性と偶然再会。
別に咎める気もなかったのに、会ったことはないと完全否定されてしまう。
やがて彼女は殺され、男に容疑がかかるのだが――という話。
こんな未解決事件あったんだねえ。
偽札といえば某国が有名だが、果たして――。
6「女と逃げろ」は1965年の作品。舞台は仙台。
罠にハメられ無実の罪で殺人犯となった男。
自分をハメた人間を追って仙台に来たものの、
ある女に殺しを依頼され別の組織からも追われる羽目に。
依頼を引き受けたと見せかけ脱出し、
ハメた人間を見つけ出すも東京に連れていくには
警察からも組織からも追われる状態の中でどうやって脱出を?――という話。
ラストが良くも悪くも印象的。
まあこういう終わり方しかないといえばないのだが。
いずれにしても書くということを
こなれていくためには相当数書かなきゃいけないと思い知らされる短編集。