西村京太郎518「十津川警部 怪しい証言」を読む

2013年出版の短編集。
「一期一会の証言」「絵の中の殺人」
「処刑のメッセージ」「事件の裏側」の計4本を収録。

あらすじと感想

「一期一会の証言」は2014年にTBSでテレビドラマ化。
「小田原城殺人事件~一期一会の証言~」というタイトル。
十津川警部シリーズ第52弾の作品の原作。

原作は小田原城ではなく彦根城。
そこで観光ガイドを務める今泉明子(71)。
いつものようにガイドを務めていると、
男女5人いたはずなのに女性の一人がいなくなる。

だが、そのことを聞いてもグループの連中は
最初から4人だったと口をそろえて言う。

とうとう自分も認知症かと明子は不安になる。
そもそもガイドを始めたのは認知症予防だったのに。

翌日、明子の前に昨日消えた女性が現れて
あれはいたずらだったと聞き、ホッとする明子。

しかし一週間後、その消えた女性が東京で殺された。
十津川警部たちが捜査するが容疑者にはアリバイが。
逮捕には明子の記憶力が頼りだが――という話。

これ結構面白い。すぐドラマになったのもわかる気がする。
ゲストは泉ピン子、遠山景織子、嘉門洋子など。

観てないからわからないけど、
原作の明子はピン子のイメージとは違うなあ。

「絵の中の殺人」は十津川警部が絵を買うとこから始まる。
嫁の直子も今回はそこそこ出てくる。
要は絵の中にあった不可解な内容から過去の事件を読み解くみたいな。

ラストの感じは嫌いではない。

「処刑のメッセージ」はアクションが多い。
インターネットにとある人物の葬儀予告が出る。
その場所がなんと首都高速の上。

でまかせかと思いきやいろいろ辿ると
本当に実行する感じになってきてホンマにやる。

これ原作で映画とかやりゃいいのにね。
こういうストーリーは嫌いじゃない。
ハードボイルドな感じも悪くないし、最後の一行が味わい深い。

「事件の裏側」は十津川警部が亀井刑事に
隠し事をしながら捜査を進める珍しい話。

政治家がらみの話で上司に指名されたから
そういう齟齬が生まれるのだが、視点を変えて辿るうちに
一つの結論に結びついていく感じが悪くない。

もうちょいひねりがあってもいいかと思う。
また事件が完全解決しているわけではないとこも珍しい。
しかしそれに対する十津川警部の言葉は
この人のキャラクターをとてもよく表していて素晴らしい。

どの作品にも味があって
結構短編集としては優秀じゃないかな、これ。

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