1992年出版の短編集。
表題作のほか、「北への列車は殺意を乗せて」「SLに愛された死体」
「北への危険な旅」の計4本を収録。
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「特急『あさま』が運ぶ殺意」は
北条刑事が叔母の葬式に向かう際に事件に出くわす。
列車内で女性が毒殺され、連れていた子供を託される。
ここからまるで現代版天一坊事件のような展開に。
背後には当然相続を巡る問題が隠されていた。
ま、それなりの展開。
子供の預け先は亀井刑事しかありませんわな。
「北への列車は殺意を乗せて」は
1994年に土曜ワイド劇場で映像化。
「東北新幹線やまびこ5号の殺意」というタイトルらしい。
単身赴任の男がアパートに仕掛けられた爆弾で死亡。
捜査協力を求められた十津川警部だが決め手がない――という展開。
ラストが結構余韻があるというか。
十津川と亀井の会話だけで余韻を作るって意外と技術がいる。
ドラマのゲストは五十嵐めぐみ、山口美也子、荒木しげるなど。
なかなか渋い。観てみたい。
「SLに愛された死体」はタイトルそのまんまに
幼稚園に展示されるため運ばれてきたSLの中から若い女の死体が。
アリバイ崩しの作品。短編のわりになかなか盛りだくさん。
ラストの亀井刑事のセリフが作品を引き締めている。
こういうところのなんちゅうか、庶民感覚というか
そういうのがあるから売れ続けるんでしょうねえ。
出だしのインパクトといい、結構気に入った話。
「北への危険な旅」はうってかわってイマイチ。
出だしの十津川警部の部下へのセリフが段取り感見え見え。
口紅で書かれた文字もこれまた段取り感抜群。
何書いても上手い著者だが、こういう現場に残された
ダイイングメッセージ的なもんはいつ読んでも上手くない。
さらに十津川の段取り感満載の言葉から
部下が死んでしまうってそりゃないでしょという展開。
ま、たまにはこんなのもあるわね。