1961年正月号から翌年3月末まで
「サンデー毎日」に連載された長編ミステリ。
後に話題となる日本の黒い霧を描く萌芽的作品。
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あらすじ
就職難で入社した洋傘会社にやりがいを感じない片山。
しかし、古本屋でふと手にした雑誌をきっかけに運命が変わる。
政財界の裏で活動する柿坂経済研究所に入社。
特に仕事も与えられず、呼び出しを受けても意図がわからない始末。
だが、独自に探っていた謎と、一見バラバラに見えた仕事が繋がり
国会で特殊潜水艦の建造計画が暴露され片山の身辺もきな臭くなる。
そして巻き起こる謎の連続変死事件。
事件の裏にいったい何が隠されているのか。
持ち前の好奇心の強さを発揮する片山の運命は?--という展開。
感想
安保後の世相をバックに国防問題と軍事産業の闇を描いた
社会派ミステリというべき一冊。
ドラマにはなってないのかな。
これまで作品が多すぎてよくわからんが。
ふとしたことに興味を持ち、
それまでの生活から脱却して己の可能性を試したい――
こういった気持ちは多かれ少なかれ誰にでもあるわけだが、
とりわけサラリーマンにとっては強いことだろう。
そういった層の願望というか、好奇心を満たすことが
松本清張はとても上手な作家だった。
国防と軍事産業というとても大きい問題を扱いながら
片山の成長物語としても読める。
まあ現実だったら、こいつ速攻消されるやろなと思わんでもないが。
時代は変われどこうした作りもありかなと思った一冊。