伝説の名作・笹沢左保「死人狩り」を読む

1965年出版の作品。
もともとは前年「平凡パンチ」に連載されていたもの。
同年と1978年にドラマ化されている。
特に1978年版は主人公の刑事に萩原健一、
宇津宮雅代、中村嘉葎雄、山崎努など豪華な布陣。
監督は工藤栄一、田中徳三。
主題歌は柳ジョージ&レイニーウッド「雨に泣いてる weepinng In the Rain」。

あらすじ

伊豆海岸を走るバスに突然撃ち込まれる一発の凶弾。
バスは乗客27人もろとも崖から転落し全員死亡。
県警の警部補・浦上の妻と2人の子供もその中に含まれていた。

凶悪な犯人は27人のうちの誰を狙ったのか?
そしてその動機は何だったのか?

妻と子供を失った浦上は悲しみをこらえ捜査に没頭。
犯人に辿り着くには被害者を一人ずつ洗っていく
いわゆる「死人狩り」以外に方法はない。

浦上は相棒の伊集院とともに丹念に捜査を進めていく。
そこで浦上がつかんだ事件の真実とは――という話。


感想

「死人狩り」というアイデアが素晴らしい。
そりゃ2回も連続ドラマになるわいな。
引っ張るだけ引っ張りやすいから。
連ドラ向けの素材ともいえる。

正直動機とかそのあたりは
ミステリ好きならまあそれしかないだろと思いつく。
しかし、捜査の過程で見えてくる被害者それぞれの人生模様。
ここが本作の読みどころといえる。
今日でも十分通用する原作だねえ。

追記

ドラマの解説書を書く機会をいただきました。

ドラマにはドラマの良さ、原作には原作の良さがありますな。
両方比べてみるとそれがよくわかる感じ。
ショーケン&柳ジョージは最高です。

しかし原作が連載されていた「平凡パンチ」、
いつまであったんだろ、自分らが中学生の頃はあったような。

笹沢左保さんは最盛期1日原稿用紙50枚書いてたなんて伝説もあるぐらい
文芸誌・週刊誌から地方新聞に至るまでものすごーく書いてはった。
紙文化が廃れて本を読む人がさらに減ってるなんて聞き飽きた話だけれど、
コンテンツが消えてなくなるわけじゃないんだし。

こういう時こそ地方新聞とか週刊誌とか
連載を大事にしながら執筆するもの書きでありたいなあと思うんだけど。
こんだけ便利になれば、パソコン持って地方に一年間住み着いて
地方新聞に歴史小説連載してみるとかねえ、そういうスタイルもありなのでは。

かつて乱歩賞獲った藤本泉さんなんか、
作品に合わせて地方に住み着いて書いたって話あったような。
はたまた、作詞家の岡本おさみさんは一年の半分旅行して詩を書いてたと聞いた覚えが。

これからは(というか今でも)宿泊先も長期滞在プランが増えるだろうし。
そういう生活スタイルもありかな~と考えたりする。
ま・・・一番肝心なのは依頼されるようにならんとどうしよーもないのだが(笑)

記事作成・ライティングに関するお問い合わせ・ご相談

コピーライター育成オンラインアカデミー

最近の投稿

テーマ別

ページトップに戻る