和久峻三「赤かぶ検事シリーズ傑作選③」を読む

「楊貴妃の亡霊」「新宿のキリスト」
「赤ちゃんを産んだ男」「鏡の向こうに誰かいる?」の4編を収録。

「楊貴妃の亡霊」は関門トンネルを使ったアリバイトリックが魅力の作品。
ご当地ミステリーの面白いところは、
その土地ならではのものを利用していることだがまさにその代表的な作品かも。
これはそこがわかってないと作りようのないミステリーやねえ。

起訴された容疑者が公判になると無実を主張。
しかも第二の事件が起こり、赤かぶ検事が追い詰められていく。
こうした中、起死回生の打開策を発見していく過程が面白い。
傑作選にふさわしい内容といえる。

ミステリーの常道作として巻き込まれ型サスペンスがある。
シリーズものならメインのキャラクターの誰かが事件に巻き込まれ
容疑者にされる話は付き物だが、「新宿のキリスト」は
赤かぶ検事の目の前で殺人が行われるという作品。

萩で有名な料亭の主人が亡くなり巻き起こる遺産争い。
面識が少しあった赤かぶ検事は調停役として呼ばれていた。
その場に現れた乞食をしている腹違いの長男が持ってきた酒が殺人を――。
果たして亡くなった次男に毒を飲ませたのは誰か。
赤かぶ検事の推理が冴えることはもちろん、
そのさりげないヒューマニズムが魅力的な個人的ベスト3に入る短編。

残り2本は山口県から長野県松本へ赤かぶ検事が転勤しての事件。
これはまあ……特になし。

記事作成・ライティングに関するお問い合わせ・ご相談

コピーライター育成オンラインアカデミー

最近の投稿

テーマ別

ページトップに戻る