1999年出版の作品。
2001年にTBSで映像化。
Auto Amazon Links: プロダクトが見つかりません。
あらすじ
井の頭公園で男の射殺死体が発見された。
男は盲目の新進画家・木下と判明。
木下には世話を一手に引き受けていた
恋人の足立えり子がいたはずだが謎の失踪。
しかも木下の代表作12点も忽然と消え失せた。
やがて巻き起こる謎の連続殺人事件。
被害者の顔には木下が影響を受けた
西伊豆出身の画家の「龍」と「鶴」のハンカチが。
誰が何のために殺人を? 十津川警部の推理は――という話。
感想
なかなか味のある一冊。
引っ張り方もうまいし読ませてくれる。
ところが殺人の動機に関しては
引っ張りまくった割にはそれかいという感じ。
ラストもなかなか読ませてくれるしそこだけが惜しい。
犯人の悲しみとか復讐に走る健気さとか
そういうところの描写はすごくいい。
画廊の女主人も少ししか出ないが味がある。
殺される側もこんな奴ら殺されてしまえと思っちゃう。
敵を討つということに対する問いかけも含蓄がある。
「そんなことをして、死んだ人が喜ぶだろうか?」
と十津川警部はめったに言わない。
殺された人間が若ければ若いほど無念に決まっている。
仇を討ってもらいたいに決まっているからだ。
それなのに「そんなことをして、死んだ人が~」
というのは偽善でしかない。
ここのラスト数ページの部分は
十津川警部の優しさがにじみ出てグッとくる。
映像化作品は観てない。
えり子が麻生祐未さんてのはいいねえ。
他には宅麻伸などが出演。
謎解きだけがミステリーではないと思える作品。