西村京太郎281「西伊豆 美しき殺意」を読む

1999年出版の作品。
2001年にTBSで映像化。

あらすじ

井の頭公園で男の射殺死体が発見された。
男は盲目の新進画家・木下と判明。
木下には世話を一手に引き受けていた
恋人の足立えり子がいたはずだが謎の失踪。

しかも木下の代表作12点も忽然と消え失せた。

やがて巻き起こる謎の連続殺人事件。
被害者の顔には木下が影響を受けた
西伊豆出身の画家の「龍」と「鶴」のハンカチが。

誰が何のために殺人を? 十津川警部の推理は――という話。


感想

なかなか味のある一冊。
引っ張り方もうまいし読ませてくれる。

ところが殺人の動機に関しては
引っ張りまくった割にはそれかいという感じ。

ラストもなかなか読ませてくれるしそこだけが惜しい。

犯人の悲しみとか復讐に走る健気さとか
そういうところの描写はすごくいい。
画廊の女主人も少ししか出ないが味がある。
殺される側もこんな奴ら殺されてしまえと思っちゃう。

敵を討つということに対する問いかけも含蓄がある。
「そんなことをして、死んだ人が喜ぶだろうか?」
と十津川警部はめったに言わない。

殺された人間が若ければ若いほど無念に決まっている。
仇を討ってもらいたいに決まっているからだ。
それなのに「そんなことをして、死んだ人が~」
というのは偽善でしかない。

ここのラスト数ページの部分は
十津川警部の優しさがにじみ出てグッとくる。

映像化作品は観てない。
えり子が麻生祐未さんてのはいいねえ。
他には宅麻伸などが出演。

謎解きだけがミステリーではないと思える作品。

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