西村京太郎58「特急さくら殺人事件」を読む

1982年出版の作品。
同年にザ・サスペンスで映像化。
十津川警部を演じたのは宝田明、亀井刑事は犬塚弘。

あらすじ

兄の葬式に行った十津川警部の部下・日下刑事。
帰りに乗った特急さくらの車内で倒れている女性を発見。
ところがその直後、何ものかに頭を殴られ気絶。
意識が戻ってみると女性の死体はどこにも見当たらない。
いったいどこに消えてしまったのか?

東京に戻った日下刑事はその奇妙な出来事を報告。
誰もが不思議がる中、女性の転落事件が発生。
日下刑事も現場に駆け付けたところ、
なんとその女性は自分が列車内で発見した女性だった!
列車から消えた女性がなぜここで見つかったのか?

女性はタレントの佐々木由紀と判明。
彼女のスポンサーとなっていたのは政治家の西尾。
十津川警部らが西尾のもとに向かった時、
西尾の会社の副社長が誘拐され事件は思わぬ方向へ――という話。


感想

日下刑事またまた事件に巻き込まれるの話。
ここまでくると伝統芸能顔負けの感じさえする。
死体消失トリックあり、誘拐あり、時刻表トリックあり、と
トラベルミステリーの面白さが凝縮された作品。
黒澤明の「天国と地獄」っぽい設定もあったりする。
いろんな見どころならぬ読みどころがあるのだが
こんだけ詰めるのならもうちょっと分量増やして
最後のところをきっちり描いた方がもっと面白くなったのでは。

ザ・サスペンスで日下刑事を演じたのは三ツ木清隆。似合う。
宝田明の十津川警部もこれ1作のみなので、観たいなあ。
講談社文庫では山村美紗が解説を書いているのだが
十津川警部を若林豪が演じていると間違えている。
若林豪は第2作目からなのだ。ホントに観たんかい。
トラベルミステリーが時代を席巻している頃の一冊。

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