西村京太郎24・屈指の名作「消えたタンカー」を読む

1975年出版の作品。
著者が自選ベスト5に選んでおり、ファンの人気も高い作品。
1981年に火曜サスペンス劇場で映像化されたほか、
2013年にはTBSの十津川警部シリーズで映像化。
渡瀬恒彦と渡哲也の兄弟共演が話題となった。

あらすじ

インド洋上で原油を満載した巨大タンカーが炎上。
沈没したタンカーからは宮本船長以下6名が脱出。

残り26名の乗組員の生死は不明のまま捜査は打ち切り。
しかし、やがて宮本船長以下6名が次々と家族もろとも殺害されていく。

捜査にあたった十津川警部補だが、これ以上首を突っ込むなと脅迫状が届く。
事件の背後に何があるのか?

ブラジル、野沢温泉、沖縄、果ては南アフリカと舞台を変えながら
十津川が最後に掴んだ真実とは――という話。


感想

西村京太郎作品の中でもスケールの大きさ、ストーリーの面白さ、
サスペンス感などどれを取ってみても一級品の名作ミステリ。

これぞエンターテインメントといえる作品。
特にクライマックスで真犯人を名指しするところはあっと言わせてくれる。

しかしこれが映像化になると大変。
火曜サスペンス劇場でやった時は、まあ冒頭のタンカーが燃えるところはなかなか。

十津川警部(この頃は警部補だった)を演じるのは夏八木勲さん。
この時点でイメージはちょっと違う。

さらに原作ではかけらも出てこない保険調査員に中野良子。
宮本船長は岡田英次。原作では速攻殺されるが、ここでは重要な役割。

そもそも話が極端に乱暴になってしまっており、
中野良子と岡田英次は親子で、要は保険金詐欺の調査を
十津川と保険調査員がタッグ組んでやるみたいな話なんだな。

原作の良さはどこへやら。

さらにTBS版は輪をかけてわからん展開に。
こっちの方がある意味原作に忠実な部分もあるが、
結局のところ保険金詐欺みたいな部分は共通している。

原作ではちょこっとしか出てこない奥平船長を演じているのが渡哲也。
原作では船の構造を説明するぐらいなのだが。

この人の過去の事件をからめながら、今度の事件の真相に迫るみたいな。
しかし、あのまぬけな殺し屋はないだろう。

あんな黒ずくめで昼間から隠れるまでもなく姿現す奴おるか?
あといきなり自分の過去を告白なんかするか?

なんでこう映像化すると話が小さく小さくなるかねえ。
ま、なんにしろ原作は名作ですわ。

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